サムスンもLGもファーウェイも、Googleのサポートがなければ折りたためるAndroidデバイスを作ることはできない。サムスンが折りたたみ式スマートフォンを披露する直前に、Googleは折りたたみ式スマートフォンをサポートすると発表した。目的は、外側の画面から内側の大きな画面への移行や、大画面を1つから複数に分ける際に、アプリが滑らかに動くようにすることだ。
スマートフォンが人々の生活の中心になっていくに従い、メーカーはスマートフォンをポケットやハンドバッグに入れて携帯できる大きさと重さにとどめながら画面サイズを広くしようと苦戦してきた。折りたたむという設定は、こうした状況を変えることを目指している。
だが、メーカーはこの設定でも苦労している。2画面を折りたたむのは言うほど簡単ではない。折り曲げられる画面としては、サムスンとLGがまず2013年と2014年に「曲面」ディスプレイを製作したが、スマートフォン自体は曲がらない。
デバイスの本体を折りたためるようにするのは、より困難な課題だ。バッテリと部品は曲げられないし、バッテリをいずれかの側に寄せるとバランスが悪くなる。加えて、曲面ディスプレイは実用化されて何年も経つが、薄いガラスは割れやすい。特に、デバイスを何年も使い、数十万回曲げるとしたら壊れるだろう。
RoyaleのFlexPaiは、有機ELディスプレイの表面にガラスではなくプラスチックを採用することで、画面の柔軟性という課題を解決した。プラスチックは、特に高価格な製品(FlexPaiの開発者モデルは1588ドル、つまり約18万円からだ)ではあまり人気のない素材だ。Royaleはバッテリを右側に搭載し、左側にその他の部品をまとめることでバランスを取った。背面の屈曲はゴム製のヒンジで制御する。
デザイン上の問題はあるものの、サムスンは曲がるスマートフォンを作るリスクを取らざるを得ない。折りたたみ式スマートフォンを披露する最初の主要メーカーになることは、サムスンから市場シェアを奪おうとする競合の先を行く助けになると同社は考える。折りたたみ式スマートフォンはまた、ハロー効果のある製品にもなる。Fordのスポーツカー「GT」やNokiaの高級デバイス「Vertu」のような、ブランドに高級感を加える製品だ。こうした製品の目的は大量に売ることではなく、注目を集めることだ。
IHS MarkitのアナリストWayne Lam氏は、「スマートフォン市場全体が折りたたみ式にシフトする必要はないが、新たなハイブリッドデバイスのカテゴリを開拓するだろう」と語った(「Galaxy Note」に対し、「ファブレット」というカテゴリがまったく同じ理由で作られたことに留意しよう)。
サムスンの課題は、大胆な新しいデザインが失敗に終わらないようにすることだ。同社はかつてGalaxy Noteシリーズでリスクを負い、最終的にそれに見合う結果になった。出だしは厳しかったが、Noteシリーズは今や、多くのファンを持つ有力なブランドになり、このシリーズが開拓した大画面スマートフォンのデザインは業界標準になっている。だが、2013年に韓国でのみ販売された世界初の曲面ディスプレイスマートフォン「Galaxy Round」は売れなかった。このデバイスが、今では当たり前になっている本体の縁がカーブしたGalaxyシリーズの最初のモデルだったにもかかわらずだ。
サムスンの折りたたみ式スマートフォンのハードウェア仕様の詳細はまだ不明だが、デバイスを閉じたときに目にする外側のディスプレイは4.58インチ、内側のディスプレイは7.3インチであることが明らかになっている。うわさでは本体はシルバー、プロセッサはQualcommの「Snapdragon 8150」で、ストレージは512GバイトでmicroSDカードスロットも備えるとされている。
「この製品の価格帯は非常に高いだろう。消費者向けモデルが適切な価格で購入できるようになるまでに数年かかるとみている」(IHS MarkitのLam氏)
この初期段階では、サムスンの製品を含む折りたたみ式スマートフォンの第一波を、今必要なデバイスではなく、いつか欲しくなるデバイスへの足がかりと定義するのが妥当だろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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