eラーニングやアプリの開発を担うのは「フェンダーデジタルチーム」だ。エンターテックの拠点とも言われる、ロサンゼルスにオフィスを構える。開設は2017年。現在、30名のデジタル分野のエキスパートを含む、約90名の専門スタッフがここで勤務している。「エンジニアは金塊。米国でもエンジニアを雇うのはとても大変なこと。しかし私たちはとてもラッキーで、ギターを愛するエンジニアが自ら集まってきてくれた。これはフェンダーというブランドだからこそ為せる技」と胸を張る。
「デジタルチームの立ち上げには投資も必要だったが、eラーニングやアプリのビジネスは、ギターのビジネスよりももっと大きな市場になる可能性を持つ。これは2019年にも実現すると思っている」と市場の将来性を強調した。
一方、オーディオジャンルは、周りが思うほど変化球なビジネスだとは捉えていない。「音楽フェスやライブなど、どの会場でも流れている音楽は、フェンダーのアンプから再生されている。そういう意味では、私たちはすでに70年間オーディオのビジネスをしてきた実績がある。新たに手がけるイヤホンは、約3年前に買収した会社が企画、開発を手がけている。製品の特徴は、軍仕様の耐久性と高性能さ、医療機関でも使えるような音質性能を持っていること。これらの特徴は、音楽ステージでも役立つと確信した」と、オーディオブランドを立ち上げた経緯を話す。
目指すのは、フェンダークオリティを持ったオーディオ機器の発売だ。「イヤホンを発売したからといって、私たちは代表的なオーディオブランドに取って代わろうとは思っていない。フェンダーは、ミュージシャンにとって身近なブランド。そのミュージシャンたちが思い描く音、クオリティをオーディオでも実現することが私たちのミッション」と目的は明快だ。
ギターやベースなどの楽器、オーディオ、そしてeラーニングやアプリなどのデジタルと、フェンダーのビジネス領域は確実に広がってきている。「ただ、個々の市場における一般的な認識と実際は少し違っているかもしれない。例えば楽器業界は縮小傾向にあると見ている人もいるが、それは真実ではない。ストリーミングの登場により、音楽を楽しむ人が増えており、さらにライブに訪れる人の数も増加中だ。音楽業界はこの2つが牽引役となって成長を続けている。事実、2018年9月にはフェンダーの70年に渡る歴史の中で、楽器の出荷台数が最多を記録した。音楽を聴きたいという思いが高まり、もっと演奏したいと感じる人が増えている」と現状を説明した。
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