Googleの最高経営責任者(CEO)であるSundar Pichai氏は米国時間10月15日、同社は中国向けに検閲対応の検索エンジンを模索しているものの、そのサービスを提供するかは定かではないと述べた。
サンフランシスコにあるSFJAZZ Centerで開催された「WIRED25」カンファレンスで、同氏はGoogleが「Project Dragonfly」と呼ばれる社内プロジェクトに着手したのは、中国でどのようなことができるかを知るためだったと語った。中国では検閲関連法が厳しいため、Googleを始めとする米国企業は現地でサービスを提供していない。
Project Dragonflyについては以前から報じられている。Googleが2010年に中国から撤退した後に、同国向けに検閲対応の検索エンジンを開発すべく進めているとされる計画だ。Googleの共同創業者でソビエト連邦出身のSergey Brin氏は中国からの撤退に際し、中国の政策は「全体主義」だと述べていた。
この新しい検索エンジンのプロジェクトには、Googleの職員からも批判が集まっている。この構想に不満を抱いた一部の職員が退職したと報じられている。また、約1000人の職員が署名した、このプロジェクトに対する抗議文が公開された。この抗議文はGoogleに対し、透明性を確保し、倫理レビュープロセスを作成し、上級幹部だけでなく一般職員にも情報を共有するよう訴えている。
Googleはこのプロジェクトについてほとんど情報を公開していない。同社の最高プライバシー責任者であるKeith Enright氏は、9月に行われた米上院通商科学運輸委員会の公聴会でProject Dragonflyの存在を認めたものの、詳細を明らかにしなかった。
10月15日のPichai氏の発言が、Googleがこのプロジェクトに取り組んでいることを初めて公に認めるものとなった。
Pichai氏は、Googleは常に「価値観のバランスを取り、ユーザーに情報へのアクセス、表現の自由、プライバシーを提供しているが、同時に各国の法規にも従っている」と述べた。中国ではこれが特に難しいと同氏は語った。
「だからこそわれわれはこの社内プロジェクトに着手した。もしGoogleが中国で検索事業を再開できるとしたらどのようなものになるのか知りたかったのだ」と同氏は述べた。
Pichai氏によると、最初にプロジェクトを立ち上げた後に、Googleが99%以上の検索クエリに対応できることが分かったという。「現在提供されているものよりも良い情報を提供できる領域がとても多い」と同氏は述べた。
しかし同氏は「条件とのバランスを取りたいと思っている。これ(プロジェクト)はまだ初期段階だ。われわれが中国で何をするか、何ができるかは分からないが、中国市場の重要性や利用者の多さを考えれば、探求することは重要だと考えている」とも述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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