「Syn.」構想の失敗から得たもの--KDDI傘下Supership、データ活用で14兆円市場狙う - (page 2)

パ・リーグと組んで、VR野球観戦サービスを提供

 これら3本の柱に加えて、5G時代を見据えた新規事業にも挑戦する。パシフィックリーグマーケティングと提携を結び、パ・リーグ6球団の試合をVR(Virtual Reality)で観戦できるサービスを提供する。VR動画のデータ量は膨大なものになる。高速な5G通信なら、高精細はVR動画もストリーミングで配信できる。5GとVRの組み合わせはスポーツ観戦のスタイルを一変させる可能性を秘めている。

 Supershipホールディングスは以上の3本の柱と新規事業の市場規模を合計すると14兆円を超えると見ている。内訳は、国内のDSP/SSP事業が1.5兆円以上、データ統合・データ分析が1兆円、中国市場が6.9兆円、5G関連サービスが4.8兆円だ。

新事業戦略では合計14兆円の市場に挑戦する
新事業戦略では合計14兆円の市場に挑戦する

 Supershipホールディングスのサービスはもともと、スタートアップ企業のサービスを集めたものだ。Syn.構想では各社の思惑がすれ違い、足並みが乱れてサービス中止となったが、代表取締役CEOの森岡氏は失敗を経験してデータを中心とした事業を一丸となって進める体制ができていると語る。

 そして森岡氏はSupershipが、KDDIという大企業の資金と経営ノウハウをてことして大きく成長した「ハイブリッドスタートアップ」だと表現する。大企業の膨大なリソースとスタートアップのスピード感を併せ持つ企業だというわけだ。しかし、日本にはスタートアップが台頭する環境が整っていないという。米国ではシリコンバレーやシアトルなどの都市で、スタートアップを支えるエコシステムが働いており、中国は政府がスタートアップを強く後押しする政策を取っているという。

 世界の企業時価総額上位10社を見ると、1989年は10社中7社が日本企業だったが、2018年になると10社中8社が米国の企業で、残り2社が中国の企業だ。ランキングに並ぶApple、Amazon、Alphabet、Microsoft、Facebookといった企業はスタートアップが急成長して大きくなった企業だ。森岡氏は今後もハイブリッドスタートアップの利点である「大企業との連携関係」を活用して、AppleやAmazon、Microsoftなどの世界の名だたる大企業に立ち向かっていきたいと語った。

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