[ブックレビュー]大切なのは伝わらない原因を解明すること--「伝わるしくみ」

マガジンハウス
詳細:単行本 / 208ページ / マガジンハウス / 著者:山本高史 / 発売日:2018/09/27 / 外形寸法 (H×W×D):19.0cm × 13.2cm × 1.5cm / 重量:0.2 kg
内容:言葉を使うということは、本当に難しい。どれほど「やさしく」言い換えても、意図した通りに「伝わる」とは限らない。どうして伝わらないのか、どうしたら伝わるようになるのか。本書は、伝わらない原因の解明に主眼を置き、それ原因を取り除けないまでも、伝わらない部分を補完する方法を教えてくれる。
「伝わるしくみ」
「伝わるしくみ」

 言葉を使うということは、本当に難しい。どれほど「やさしく」言い換えても、意図した通りに「伝わる」とは限らない。どうして伝わらないのか、どうしたら伝わるようになるのか。本書は、よくある言葉の表現方法や図解を用いた「伝えるための手法」よりも、伝わらない原因の解明に主眼を置き、それ原因を取り除けないまでも、伝わらない部分を補完する方法を教えてくれる。

 筆者は、長年テクニカルライターをやっているが、書籍や記事は、それに多少なりとも興味を持っている人が読むので、「やさしく」解説することを目指すだけで、言いたいことは伝わっていたように思う。しかし、最近職場環境が変わり、説明の対象となるものには全く興味がないが、しかたなく読まなければならない、あるいは、できるだけ読みたくない人にも、伝えなければならなくなった。そうなって初めて、こちらがいくら工夫しても伝わらないことがあると知った。

 そこで本書である。「そういうことか」と腹落ちすることが多いのだが、中でも「脳内経験」という、実際に経験できなくとも、脳内で経験していく手法には衝撃を受ける。想像力を働かせることではあるが、もう少し発展性のあるやり方で、これは、伝える仕事をしている人が、訓練としてやっていくべきことだ。伝わらないことにもどかしい思いをしている人にお勧めの1冊。

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