総務省は6月25日、リチウムイオン電池(LIB)の回収・再資源化に関する調査結果を公表した。
近年、LIBを使った製品の増加に伴い、市区町村のごみ処理施設でLIBに起因する火災事故が頻発している。この中には、11億円もの被害が発生した事例も報告されている。
今回の調査は2024年5月から7月にかけて、全国1558市区町村を対象に実施。うち50市で実地調査を行い、その中の43市では不燃ごみに混入していたLIB製品2854点を分析した。
調査結果によると、LIB関連の火災事故が発生した市区町村数は、2019年度の38市から2023年度には45市と増加傾向にあった。廃棄物処理施設の稼働停止など、重大な被害が生じた事例は過去5年間で15市17件にのぼった。
特に深刻なケースとしては、LIB搭載製品が施設内の火災検知器や消火装置を通過した後に発火した事例があり、施設の基幹設備が損傷し、被害額が11億円に達したという。また別のケースでは、処理施設のコンベヤが損傷し、1カ月半にわたりごみ処理が停止した。
混入したLIB製品の分析では、加熱式たばこや携帯電話、モバイルバッテリー、電気かみそり、電気掃除機が多くを占めていた。これらのうち電池が容易に取り外せる製品は1割程度で、リサイクルマークの表示があったものも5割にとどまった。
また、実際に発火事故に至った原因の製品は、「モバイルバッテリー」が49.4%と最も多く、次いで「加熱式たばこ」が33.4%、「コードレス掃除機」が20.9%だった。
火災事故等が発生したごみの収集区分は、「不燃ごみ」が72.1%と最も多く、次いで「粗大ごみ」が21.5%、「可燃ごみ」が18.6%などだった。
LIB回収の実施状況については、詳細調査した50市のうち47市が何らかの形で回収を実施。しかしその一方で、23市では処分事業者を確保できないなどの理由で、LIB製品を埋立て・焼却・一時保管せざるを得ない状況にあった。そのうち17市は「処分事業者が見つからない」ことを主な理由に挙げた。
また保管方法として、後述するJBRCが引き受けない破損・膨張品を本庁舎の倉庫にペール缶で保管するなど、適切とは言えない対応を取っている事例も確認された。
現行の制度では、資源有効利用促進法により製品メーカーにLIB製品の自主回収と再資源化の責務が課せられている。また、廃棄物処理法では市区町村に一般廃棄物を統括的に処理する責任があると定められている。しかしながら、メーカーの自主回収団体であるJBRCの存在を知らない市区町村があるなど、制度の周知が不十分な実態も明らかとなった。
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