「運動オンチがモテる世界をつくれ」「スクールカーストをなくせ」ーー。LITALICOは9月17日に、“学校にある課題を攻略せよ”をテーマにしたコンテスト「第1回 SOCIAL FIGHTER AWARD」の最終審査会を開催した。
教育や福祉に関する事業を展開するLITALICOは、テクノロジの力で社会課題に立ち向かう人を「SOCIAL FIGHTER(ソーシャルファイター)」と定義している。「SOCIAL FIGHTER AWARD」と銘打ったコンテストを開催することで、社会課題を抱えた人とそれを解決する力を持つ技術者の橋渡しとなる場をつくる考えだ。
第1回となる今回は「学校にある課題を攻略せよ」をテーマに、4月5日から7月31日まで応募を受け付け、141作品の応募があったという。小学生からプロの大人まで幅広い年齢層から送られてきた作品を「IMPACT × TECHNOLOGY × POSSIBILITY」の3つの視点で審査し、ウェブサービスやVR、ARの仕組みを活用したものなど、ユニークな6作品を最終審査に進むファイナリストとして選出した。
最終審査会の審査員は、PlayStation用ゲームソフト「ぼくのなつやすみ」シリーズで監督・脚本・ゲームデザインを務めた綾部和氏、シリコンバレーの教育ベンチャー・EdSurgeでエンジニアを務めた上杉周作氏、XR向け触覚ウェアラブルデバイスの製品開発と事業運営を統括するexiii COO 金子大和氏、LITALICO 執行役員CTO 岸田崇志氏だ。さらに、5月に同社が一般社団法人PLAYERSと共同開催したワークショップ「アイデアソン for kids」に参加した子どもたちが審査員として招かれた。綾部和氏は6月に開催された同社主催のハッカソンでも講義、審査員を担当している。
最終審査会は、ファイナリストたちによるプレゼン形式で行われた。トップバッターは、Code for AICHIの「まねっこLEDミラー」。表情をカメラで撮影すると、測定された感情が8種類の絵文字となって表示されるデバイスだ。Raspberry Piにカメラを装着、撮影画像に顔があるかをOpenCVで判断し、画像データをMicrosoft AzureのFace APIで認識して判定させる仕組み。これにより、遊びながら笑顔のトレーニングができるという。スライドには「笑顔にはきっと笑顔が返ってくるよ!」とのコメントも付けられていた。子ども審査員からは「一人暮らしでも楽しくなりそう」とのコメントがあった。
次は、金澤圭氏による「Smart Classroom」。授業中に手元のボタンを押すことで、先生にリアルタイムで理解度を伝えられる仕組みだ。ボタンを1度押すと「わかる」、2度押すと「わからない」と送信できる。ボタンにはAWS IoT Enterprise Buttonを利用し、低コストと高いスケーラビリティにこだわって設計した。ボタンを押した生徒が誰なのかまで教師や親に伝えるべきかは悩んだ点で、今後の課題でもあるという。
子ども審査員から「ふざけて押す人がいそう」「わからないとき押し損ねたらどうしたらいいのか」など、次々に質問が挙がり、綾部氏は「子どもにわかりやすいからこれだけの質問が出てくるのでは。誰が押したかわかるようにするのか、理解度をみんなで見られるようにするのかなど、スタート地点に立つアイデアとしておもしろい」と評価した。
3番目は、IZINによる「偉人チャット」。「勉強がおもしろくないのは、興味が湧かないからでは。興味を持つきっかけは共通点を持つことだ」と考え、偉人とチャットすることで共通点を発見するツールを作成した。プレゼンでは織田信長とチャットをし、会話の中で歴史を学んでいく様子が実演された。LINEのbotとしての実装も難しくないという。審査員からは「友だちのコレクション要素や、返信に間を持たせたり、既読スルーさせたりすると続くと思う」(金子氏)、「アイデアとしてはすごくおもしろいが、実装となると量も多く大変そうだ。それ次第で評価が変わる」(綾部氏)などの声が挙がった。
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