LITALICOが“学校の課題”をテーマにしたコンテスト開催--審査員は子どもたち - (page 2)

 4番目は、3Balancosによる「フライング・ブランコ」。“ブランコ+靴飛ばし”をVR空間で楽しめる装置を作り、大人と子どもの間に遊びの接点を持たせたかったという。両足に付けた装置を近くに立てた赤外線センサで読み取り、足の動きを検知。ゲーム仕立てのVR空間で靴飛ばしを楽しめる。ブランコなどVR以外の装置に掛かった金額は総額で3万円以下だという。審査員からは「対戦できたらおもしろい。次はドローンと組み合わせてみては」(上杉氏)との意見があったが、まさに次回の展開として考えているとのことだった。

「フライング・ブランコ」を開発した3Balancos
「フライング・ブランコ」を開発した3Balancos
「フライング・ブランコ」のVR画面
「フライング・ブランコ」のVR画面
「フライング・ブランコ」を子ども審査員が試しているところ
「フライング・ブランコ」を子ども審査員が試しているところ

 5番目は、つくるラボによる「落学記」。教科書に載っている偉人などの写真に落書きしていたことをヒントに、その落書きを友だちとARでシェアすることで、教科書を開くことが楽しくなることを狙うシステムだ。審査員からは「マーカーの登録は簡単なのか」(岸田氏)という質問が挙がり、「現在は手動で行っており、教科書のコンテンツは限られているため最初は手動でいいと考えている」と述べた。子ども審査員からは「子どもはスマホを持っていないがどうしたらいいのか」との指摘があり、「家で宿題をやるときに親のスマホでやるなどしてほしい」と回答していた。

「落学記」
「落学記」
「落学記」を開発したつくるラボ
「落学記」を開発したつくるラボ

 最後は、カタコトによる「mirror notes(ミラーノーツ)」。学校の人気者になるために絵が上手になれたら、と考えられた”ひみつ道具”だ。スマホで表示した画像を半透明のパネルによって紙に投影し、それをなぞるだけでイラストが上手に描ける。専用アプリには画像を線描のイラストに変換するモードや、ひらがななど文字を練習するモードも用意されている。コストは数百円で済み、アクリル板を大きくすればタブレット対応にもできる。

 審査員からは「習字の練習にも使えるのではないか」(上杉氏)、「実用品として大人も使える。ただ、みんなが使うと人気者になれないのでは」(綾部氏)といった意見が挙がった。

「mirror notes(ミラーノーツ)」
「mirror notes(ミラーノーツ)」
「mirror notes(ミラーノーツ)」を開発したカタコト
「mirror notes」を開発したカタコト
「mirror notes(ミラーノーツ)」の仕組み
「mirror notes」の仕組み

「BEST OF SOCIAL FIGHTER賞」に輝いたのは?

 プレゼンが終了したのち、コンテストの結果発表となった。子ども審査員による「キッズ賞」はmirror notesが、会場に集まった人の投票数が高かった「オーディエンス賞」はSmart Classroomが受賞した。そして、アイデアの斬新さが優れている「BEST IMPACT賞」を再びmirror notesが受賞した。技術的な面白さのある作品に贈られる「BEST TECHNOLOGY賞」には、偉人チャットが選ばれた。

 そして、すべての審査基準に対してもっとも優れた作品に贈られる「BEST OF SOCIAL FIGHTER賞」は金澤圭氏のSmart Classroomが受賞。綾部氏は「課題に対してしっかり考えられていることが印象的だった。シンプルな仕組みであるがゆえに、利用者側で使い方を変えられる。非常に自由度が高い。極端な話、この会場でいきなり使えるところが素晴らしい」と評価を述べた。

ダブル受賞となった金澤圭氏(写真右)とLITALICO岸田氏
ダブル受賞となった金澤圭氏(写真右)とLITALICO岸田氏

 Smart Classroomを開発した金澤氏は、野村総合研究所に務めるエンジニアで共働きの妻と2人の子どもを持つ。受賞後のインタビューでは、「自分が賞をいただけると思っていなかったので、本当に嬉しい。わが子が小学校に入学するまでに、“小1の壁(子どもが小学校入学時に抱える保護者の悩み)”をどうにかしないといけないという思いを強く持っており、ちょうどこのアワードがあり感謝している。今後も“小1の壁”を削っていきたいと考えている」と述べた。

 最終審査会を終えて、LITALICOの岸田氏は「今回のコンテストで社会課題に取り組んでいる人たちとたくさん知り合うことができた。今後、何かしらの形で一緒に盛り上げていければと考えている。個人で活動されているエンジニアはたくさんいる。世の中、売れるアプリばかりを注目しがちだが、お父さんが娘を幸せにするために作ったアプリもある。そのアプリで同じ課題を抱えている家族が幸せになることもある。今回受賞された金澤さんもたまたま父親で、以前からこうした人たちにフォーカスをあてられたらと考えていたので非常に良かった」と、コンテスト開催で感じた手応えを述べた。

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