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“わざわざ集まる”コミュニケーションを取り戻す--ミクシィ木村新社長に聞く

佐藤和也 (編集部)2018年07月26日 08時00分
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 「コミュニケーションの分野にミクシィの命運を賭ける」――6月22日付でミクシィの代表取締役社長となった木村弘毅氏は、当時就任が内定状態にあった5月の決算説明会で登壇し、このように語っていた。

 木村氏は、mixiアプリ「サンシャイン牧場」など多くのコミュニケーションゲームの運用コンサルティングを担当。その後、スマートフォン向けゲーム「モンスターストライク」(モンスト)のプロジェクトを立ち上げ、ミクシィの主力事業となるまでに成長させた立役者のひとり。近年では「XFLAG」の総監督という立場で、モンストをはじめとするエンタメ事業のほか、新たにミクシィグループとしてスポーツ事業にも参入し、両事業を牽引している。

 そんな木村氏に、企画畑を歩いてきたゆえの社長就任に対する葛藤をはじめ、長年手掛けてきたモンストや事業を終了したチケットキャンプのこと、そしてウェルネス事業参入をはじめとする「コミュニケーションを軸にした会社」の狙いを聞いた。

木村弘毅氏
木村弘毅氏

社長になることの葛藤と、現場担当としてものづくりに戻れる会社

――代表取締役社長として内定が決まったとき、率直にどう思ったかを教えて下さい。

 まずミクシィを取り巻く状況でお話をすると、市場から見た会社は、次の成長の柱が評価されていない状態にあります。そのなかで期待されていたもののひとつにチケットキャンプがあったのですが、継続が難しい状況になってしまった。そして、新たな成長戦略を作っていくために、体制を見直していくのがいいという話が取締役会でありました。

 現状では収益の柱がエンターテインメント領域ですので、エンタメを堅調に伸ばしていきながら、次の事業の柱となるものを、我々が強みをきちんと生かしていける領域で投資をしていく、それができる体制に変えていこうと。そのなかで社長就任の話があったんです。

 社長となることに葛藤がなかったか、と聞かれれば、ありました。私はどちらかというとSNSやゲーム、アニメなどといった企画プロデュース業務を生業としてやってきましたし、もちろんボードメンバーとして経営面も見てきましたが、代表取締役社長というのは重いポジションですから、私が本当にふさわしいのかとか、悩みました。

 大きかったのは、笠原健治(※ミクシィ創業者で、現在は取締役会長執行役員)の存在です。外からどのように映っているかはわかりませんが、現在はプロデューサーとして現場でスタッフとともに机を並べて業務をしています。なんなら、カスタマーサポートの返信も自らしているぐらいです。その姿を見ていて、この会社は軌道に乗せたのなら、自分もまた現場の担当として、ものづくりに戻れるような会社だと思ったんです。それであればと。今は、社長業もクリエイティブな仕事だととらえていますし、全身全霊でやっていきます。

――そのとき、森田さん(※前社長の森田仁基氏)とどういったことをお話しましたか。

 「どの従業員とも、コミュニケーションはフラットであるべき」というのと「開かれた文化は引き継いでなくさないでいこう」という話はしました。ミクシィでは役員室がありません。ともするとアルバイトも含めて机を並べて業務をしていて、取締役はあくまで機能のひとつです。

 あとは、今後の事業展開にあたっては、ボードメンバーの選定も含めて「木村さんの好きなようにやったほうがいい」と言われました。それで全権委任していただいたところもあるので、企業文化としてのフラットな部分は継承しながら、事業戦略はがらっと変えようと、そう思いました。

スマートフォンにおける対戦ゲームは、勝者たる存在がいない

――モンストについてお伺いします。ゲームコンテンツは経年によるアクティブユーザーの減少は避けられないところで、3周年となる2016年10月に大きく盛り返したのが印象的です。

 2016年に入ってから3周年になるまで下降線をたどっていったのは事実です。そのタイミングで、我々が提供する価値とは何か、ということを改めて考えたんです。モンストの寿命を延ばしていくことだけを考えると、コアユーザーが増えていくだけで成長していきません。

 そのときに我々はゲームではなく、バーベキューのような、みんなでワイワイと盛り上がれる空間を作る、そこにフォーカスをすべきという話をしました。その意味を込めて、XFLAGのロゴに「BBQ」と入れたんです。ゲーム以外では、アニメも動画サイトの配信だけではなく劇場映画も試みたり、加えて、この時までタレントを使ったプロモーションをしなかったのですが、(ダチョウ倶楽部の)上島竜兵さんを起用したキャンペーンもやりました。

 ゲーム内の細かいところですけど、アイテムのドロップ率が上がる「運極キャラ」をできるだけ多くの人に持ってもらえるようにもしました。それは、プレーヤーのスタートラインをそろえることが目的で、長年遊んでいるプレーヤーとの差が顕著になると、みんなで集まって盛り上がる空間が生み出せないと思ったからです。

 もちろん、それによってゲームのクリアが楽になって寿命が縮むのではないか、という意見もあり議論しました。でも、みんなで盛り上がるほうが重要だと主張して。それらが奏功して、3周年記念のときに当時最大のアクティブユーザー数になりました。

 そもそもモンスト自体が「みんなでワイワイする」という楽しさを提供する目的のタイトルです。その原点回帰と、みんなで盛り上がるということのキャンペーンを通じたメッセージを伝えること、それをたたみかけるように展開したのが3周年でした。

 この3周年のタイミングは、世界的に注目されたスマホゲームの登場で、モンストに限らずさまざまなゲームアプリが「大丈夫?」と言われていた時期でもありました。実際に影響としてはなく、むしろアクティブユーザーは増えましたので、遊んでいるみなさんに評価されたんだなと思いました。

――モンスト以外にもゲームアプリをリリースしましたが、率直に言って振るわなかったところもあるかと思います。ファイトリーグも苦戦しているように見られますが、それについてはいかがでしょうか。

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