7月11日~13日、東京ビッグサイトにて国際モダンホスピタルショウ2018が開催された。医療関係者が注目したカンファレンスの一つが、「iPhoneやiPad、Apple Watchを活用したヘルスケア変革の実現」と題した特別講演だ。
ドクターでありながら、Chief Clinical Transformation Officerとしてヘルスケア変革に注力する、オシュナー・ヘルスシステムのリチャード・ミラニ博士が講演した。
講演では、電子カルテにiPhoneやiPad、Apple Watchを組み合わせることで、患者と医療関係者の間のコミュニケーションを円滑にしたり、退院後のケアをしたりできるシステムについて紹介。このシステムの開発の道のりやキーポイントも含めて解説した。
病院のデジタル改革における柱の一つは、患者、ドクター、患者間のコミュニケーションだ。医師や看護師らは病院の中を日々動き回っており、中でも医師は1日に2.3kmも歩くという。こうなると、患者の情報を座って落ち着いた状態で確認するのは難しい。そこで活躍するのがiPhone、Apple Watch、iPadだ。
まず、なぜアップル製品を採用したのか。「われわれ医者は患者の情報を持ち歩くことになるため、それらがセキュアに保護されることが重要だ。ヘルスケア領域においてiOS機器が重宝されているのは、セキュリティとプライバシーが強固に保たれているから。そして使い勝手がよく、特別なトレーニングを行うことなく使えるため」と説明した。博士の調査では、医師の約9割がiPhoneの利用者だという。
博士が最初に紹介したのは、統合電子カルテシステムアプリ「Epic Haiku(エピック・ハイク)」と「Epic Canto(エピック・カントー)」だ。Epic Haikuを利用することで、クリニックのスケジュールや病院の患者リスト、検査結果などを見られるようになる。さらに患者の検査結果も、Apple Watchでいち早く直接通知を受け取れるため、iPhoneを操作できない状況にあってもいち早く確認できるほか、患者がどこにいるかも確認できるという。
Epic Cantoは、iPad上で利用できる電子カルテとの連携アプリだ。CTスキャンなどの医療画像をiPadに映し出せるため、回診中でも患者に写真を見せながら状況を説明するといった使い方ができる。
回診以外でも、医師は診察室に戻ることなく状況を確認できるほか、医療文献や記事などをPDFで保存しておける機能も備える。これらによって医師の作業効率がアップしたという。
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