米航空宇宙局(NASA)は、火星の探査にドローンが活用可能なことを示す目的で、2020年7月打ち上げ予定のロケットに試験用ドローン「Mars Helicopter」も搭載すると発表した。このロケットに載せた探査機とドローンは、2021年2月に火星へ到着する計画。
火星の大気は地球に比べ極めて薄いため、地球で飛行可能なクアッドコプターなどは飛べない。そのため、これまでNASAは、ガスを噴射して真空でも飛べる「Extreme Access Flyer」や、小型のハチのような飛行ロボット「Marsbee」などを研究してきた。
NASAのジェット推進研究所(JPL)では、反対方向へ回る2つのローターが1つの回転軸に取り付けられた、ヘリコプターのような二重反転式ローター機の研究を2013年8月に始めた。重さ1.8kgで、ソフトボール大の機体を開発。Mars Helicopterは、リチウムイオンバッテリと発電用の太陽光パネル、保温用のヒーターなども搭載する。
地球で飛んだヘリコプターの最高高度記録は、約4万フィート(約1万2192m)だそうだ。火星表面で飛行可能なヘリコプターは、地球なら高度10万フィート(約3万480m)を飛べる性能が必要という。Mars Helicopterのローター回転速度は、希薄な火星の大気中でも揚力を得られるよう、地球用ヘリコプターの約10倍に相当する毎分3000回転弱とした。
火星では、30日の試験期間中、最大5回の飛行を予定している。初フライトでは3m上昇させ、30秒ほど滞空させる。最終的には、最大高度数百mで、約90秒間飛ばす。
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