これまでの製造規模は小さいが、Made In Spaceは「宇宙空間での生活と仕事が当たり前になる未来」を見据えている。それは、やがて大規模な建設プロジェクトが登場する可能性を示している。
Amazon創業者のJeff Bezos氏も地球以外の宇宙空間で製造することを考えているようだ。Bezos氏は2017年、BBCに対して「われわれは(地球を)守る必要がある。地球を本当に保護する唯一の方法は、最終的に重工業を地球以外の場所に移すことだ」と述べている。同氏は航空宇宙企業のBlue Originも設立した。
皆が火星に注目している間、誰かが私たちの住む地球に気を配らなければならないのは、当然のことだろう。
宇宙空間で何カ月も過ごした後、宇宙船から降りるときのことを想像してほしい。冷えたビールを飲みたいと思っても許されるはずだ。
長距離移動は疲れるものである。
Budweiserは一般庶民のはるか先を見据えており、同ブランドを持つAnheuser-Buschは火星のビール市場を独占したいと考えているようだ。
「われわれは『冷えたビールを楽しめないで、火星での生活がどれだけ充実したものになるだろうか』と自問した」と話すのは、Budweiserのマーケティング担当バイスプレジデントを務めるRicardo Marques氏だ。同社は、火星で最初に飲まれるビールを提供するという目標を発表している。
Anheuser-Buschは2017年11月のプレスリリースで、「火星で社交生活を送れるのはまだ少し先の話かもしれないが、Budweiserは微小重力環境でビールの原料がどのように反応するのかをより深く理解するため、既にさまざまな手段を講じている。人類が火星に到達したとき、Budweiserがそこにあるようにするためだ」と述べている。
残念なことに、それは、火星到着時にホップと大麦、酵母、プラスチック製容器をさっと取り出せば済むというほど簡単な話ではない(これで済むのなら、映画「オデッセイ」でMatt Damonが試していただろう)。
ケンタッキー州レキシントンにある宇宙研究機関、Space Tangoとの提携の下、Budweiserは大麦(ビール造りの核となる原料)に関する宇宙実験を既に実施済みだ。Space Tangoは、微小重力環境で実験を行える特殊なボックス「CubeLab」の製造元である。
最初の実験の目的は、大麦の種子が微小重力環境にどう反応するのかを明らかにすることだった。2回目の実験の目的は、大麦が宇宙空間でも地球上と同じ早さで生長するか、そして、何らかの遺伝的突然変異が発生しないかを確認することだった。詳細な研究結果はまだ発表されていない。
Space Tangoのプログラムマネージャーを務めるGentry Barnett氏は、「われわれが宇宙空間で学んだことの多くは、地球上でも応用できる」と語る。
「微小重力のストレスが植物の高さや耐水性、耐熱性に影響を与えることが判明したら、地球上の全ての作物生産にとって非常に有益だ」(Barnett氏)
今後の実験では、宇宙空間での炭酸化についても調べる、とAnheuser-Buschの大麦のグローバルリサーチ担当ディレクターを務めるGary Hanning氏は話す(余談だが、炭酸が招く「げっぷ」は宇宙では水分が混じってしまうとのこと)。
Barnett氏によると、同社は将来的に麦芽の製造をテストする可能性もあるという。
その計画に乾杯だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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