ロジクールは6月27日、ワイヤレスイヤホンなどを手がけるJaybirdブランドについてプレスセミナーを開催した。自ら「スポーツブランド」と名乗る、Jaybirdの取り組みや、マーケティング戦略について説明した。
Jaybirdは、2006年に米国で設立。約2年前にロジクールの米国本社であるロジテックが買収し、グローバルで展開する販売チャネルや生産技術とJaybirdが持つ技術を融合させることで、製品をブラッシュアップしてきたという。
ロジクールJaybirdブランドマネージャーの黄佑仁氏は「Jaybirdのスタートはスポーツ。アスリートは音楽を聞くこととスポーツをすることが好き。スポーツする時にプレーヤーとヘッドホンの間にケーブルがあると、ひっかけたり、ぶつけたり、壊したりしてしまう。このケーブルを取り払い、フィット感がよくつけている感覚をなくして、縛られていない自由度を手にしたい人は多いはず。快適なスポーツライフを送るためのツール」と、Jaybirdが手がけるイヤホンについて説明した。
Jaybirdでは自らを「スポーツブランド」と名乗り、スポーツシーンで使える製品以外は発売していない。「オーディオ業界は非常に大きな市場だが、ブランドも製品も多い。その中でオーディオブランドといっただけでは勝ち残っていけない。強みをさらに尖らせてコミュニケーションすることで存在意義が出てくる。その部分を非常に大事にしている」と、黄氏はスポーツブランドとしてイヤホンを開発、販売するスタイルにこだわる理由を話す。
「スポーツイヤホンがJaybirdの専業。ここのプロフェッショナルになることで他社には置き換えられない、独自の領域を作り出そうと考えている」(黃氏)と、目指すポジションは明確だ。
そのため、Jaybirdではスポーツと音楽を推奨するための活動を展開している。その1つが米国のパークシティーにある本社に設けた研究施設「RUN LAB」だ。Redbullなどに在籍していたDr.Andy Walshe氏がラボを管理。アスリートが使うギアとして存在意義を維持できているか、さらにはパフォーマンスをあげていけるかまで踏み込んだ商品開発を進める。
特にこだわっているのがつけ心地だ。「イヤホンをつけるのではなく、『履く』『着る』といった表現にしたい。例えば足のサイズ25cmの人が26cmの靴を持っていても快適に履くことはできない。それと同様にイヤーピースのサイズの合わなければ使うことはできない。左右の耳同士でもサイズは異なる」(黃氏)と言う。それを実現するために、「Jaybird RUN TRUE WIRELESS SPORT HEADPHONES」(Jaybird RUN)には、一体型イヤーフィン、チップ1/2/3/4を標準装備し、組み合わせることで1人ひとりの耳に合った装着感を提供する。
黃氏は、「なるべく多くの人の耳に合うようにしているが、まだ完璧からはほど遠い。その研究は続けていて、耳型を採取して作成するカスタムインイヤーモニターなども展開も考えられる」と貪欲な姿勢を見せた。
スポーツ全般を対象にしているが"コミュニケーションを尖らせる”という意味合いから、ランニングにフォーカス。ただし、フルマラソンを走るような人から、自宅の周りを走るような人まで、その対象は幅広い。「音楽を聞きながら走ると、タイムが上がるなど、パフォーマンスが発揮できるという調査結果が出ているが、音楽を聞きながら走っていない人もまだ多い。聞いていてもスポーツ用を使っていない人もいる。まだJaybirdのイヤホンを体験していない人に向けパフォーマンスが上がるイヤホンを提供していきたい」(黃氏)と、今後の戦略を話す。
その一環として取り組むのが、ランステーションへの働きかけだ。提携するランステーションでは、入口付近に広告ビジュアルを掲出するほか、Jaybird RUNを無料で貸し出す。黃氏は「家電量販店などの店頭では納得するまで試聴することが難しく、少しつけてみただけでは合わないと諦めてしまう人もいる。そうした諦めてしまう層に向けた取り組みとして無料貸し出しを始めた」と、製品の良さをきちんと伝えることにポイントを置く。
このほか、スポーツウォッチを手がけるPolarとのコラボレーションにより、Jaybirdのイヤホンを同梱した限定モデルを発売したり、auの音楽ストリーミングサービス「うたパス」内に、ランニングに最適なプレイリストを提供したりと、スポーツを軸に積極的な活動を続ける。
6月に開催された「サロマ湖100kmウルトラマラソン」には協賛し、Jaybird所属のアスリートである川内鮮輝氏が出場。「TEAM Jaybird」を作り、出走権のプレゼントキャンペーンなども実施した。
川内氏はサロマ湖100kmウルトラマラソンで、自己記録を上回る好タイムをマーク。自身がゴールした後は、Bluetoothスピーカで音楽をかけ、一般ランナーを応援したという。「応援する側に回ることは少ないが、音楽を流しながら応援したら、思った以上のいい反応が得られた。応援している側、応援されている側の気持ちが音楽によってつながったと感じた。音楽が流れる状況は極限状態の時に励まされる」とコメントした。
Jaybirdでは、「POWER YOUR PASSION」をブランドコンセプトに据えており、出走権のプレゼントも各自の「パッション」を重視し選考したとのこと。
黃氏はサロマ湖100kmウルトラマラソンでの協賛を通し、「スポーツブランドとしてやってきた方向性は間違っていなかったという確信が得られた」と感想を話す。今後については「現在の方向性で進み、表現の仕方をさらに進化させていく。新たな製品ももう少ししたら発表できると思う」と話した。
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