iPhone Xの画面上部には『ノッチ』と呼ばれるディスプレイの非表示領域が備わり、カメラや赤外線センサ、ドットプロジェクタによって構成されるTrueDepthカメラと受話スピーカが収められている。
そのため、iPhoneにあった画面上部のステイタスバーは左右に分割され、左側に時計、右側に電波強度とバッテリー表示で限られた表示スペースを活用している。
iOS 12のiPadのステイタスバーも、中央部分の画面表示を避け、iPhone Xのように左右に分かれた表示はまるで中央部分にノッチでも用意されるのか、と思わせるデザイン変更だ。
ただし、iPhoneよりも十分に広い画面サイズを誇るため、これまで時間しか表示されていなかったステイタスバーへの日付の表示の追加なども施されるという。
これらのことを総合すると、iOS 12は、iPadにホームボタンなしのデバイスが登場しても「困らない」仕様に変更していることが分かる。
9月のiPhone発表時には、3モデルのTrueDepthカメラ搭載iPhoneが登場するとみられているが、それらに加え、2種類のサイズのTrueDepthカメラ搭載iPad Proが登場しても、ソフトウェア上の準備はすでに整っている、と考えて良いだろう。
WWDC 2018でTrueDepthカメラを搭載するMacやiPadを披露しなかったのは、もちろんパーツの調達の問題もあっただろうが、Appleのフラッグシップモデル1機種のiPhoneにしか搭載されていない機能を無闇に他の製品に拡大したくなかった、というマーケティング上の都合もあったのではないだろうか。
これは少し邪推が過ぎるかもしれないが、iPadとiOS 12について、もう1つの示唆を読み取るとすれば、iBooksだ。
iOS 12、macOS Mojaveでは、Appleの電子書籍リーダー・ストアアプリ「iBooks」を「Apple Books」に改称し、iOS上では「Books」アプリとして展開するリブランディングを行った。
この変更はあまり違和感がない。Apple MusicはiOS上の「Music」アプリと統合しており、手持ちの音楽ライブラリと定額制で聴き放題のストリーミングサービスを統合した音楽体験を構成している。その書籍版がApple Booksと「Books」アプリになると言われれば、まさにその通りとしか言いようがない。
ちなみにAppleは雑誌の読み放題サービスTextureをすでに買収している。Beatsを買収してApple Musicを展開したように、Texture買収によって定額制のApple Booksを開始する展開もまた、想像に難くない。
ここで一つ結びつけたくなるのが、iBooksという名称をソフトウェアで使わなくなったことだ。
歴史を紐解いてみると、もともと「iBook」というポータブルコンピュータが存在していた。iMacのノート型コンピュータとして、半透明とカラフルなボディで構成された取っ手付きのデザインで登場し、その後真っ白なポリカーボネイトのデザインへ移行し、MacBook登場まで身近なノート型Macとして存在してきた。
その後、AppleがiPadとともに電子書籍に取り組む際、すでにハードウェアの名前としては使われていなかった「iBook」のブランドを活用した。そして2018年秋、再びこの「iBook」の名称はアプリや電子書籍プラットホームからなくなる。
となると、かねてより噂されるARMベースのMacの名称として、「iBook」の名前を使うこともできよう。キーボードを外付けにしたタブレット型のiPadに対して、キーボードを搭載しiOSが動作するiBookをラインアップに用意し、教育市場を意識した導入を図っても良いのではないだろうか。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手