ARKit 2は、「iPhone X」に搭載された前面カメラの「TrueDepth」を使って目の動きをトラッキングできる。このカメラは、2018年後半に登場するであろう他のiPhoneや、おそらく次期「iPad Pro」でも採用される可能性がある。開発者がTwitterに投稿している実験的な動画を見る限り、すでに上々の成果が出ていると言えるだろう。これは、Appleのアイトラッキング技術が次に向かう方向を導き出すための試験運用とも考えられる。最終的には、ヘッドセットに採用されるのかもしれない。あるいは、見ているものを読んだり、手を使わずに視線だけで操作したりするだけでなく、表情や感情を情報に転換する方法の手がかりになる。「ミー文字」のようなアバターが、まったく新しい形で登場するきっかけにもなりそうだ。
#UnityARKitPlugin ARKit2 - the hits keep coming - just added an example to show new face tracking features... and you thought I couldn't embarrass myself more than I already have :) pic.twitter.com/ZOzhjfRKTf
— Jimmy A (@jimmy_jam_jam) 2018年6月5日
仮想オブジェクトの永続性とは、たとえば仮想のテディベアを現実のテーブル上に置いておくと、次にARを利用するときに、そのままそこにあるということだ。それが、異なるアプリの間にも広がりそうな兆しがある。AppleがPixarと提携して開発した「USDZ」という新しい共通フォーマットのおかげで、iOS 12はブラウザ内や他のアプリケーションでARを扱うことができるようになる。このフォーマットは3DファイルをAR対応オブジェクトに変換するのに用いられ、さまざまなアプリケーションで共有できるよう最適化されている。
当面、Appleはこのフォーマットを全iOSデバイスに対応させることを目標にしている。USDZはユニバーサルフォーマットの座を争うことになるかもしれないが、それはもっと大きい競争になるだろう。ARKit 2では、仮想オブジェクトをよりリアルに見せることもできる。3D ARの作成に、現実世界の物体を反映できるようになったからだ。そこにリアルな陰影を加えて、何もかもますます現実的に見せることができる。
Adding shadows to a virtual object was a big step for immersion in #AugmentedReality ...now we have “scene reflection” from @Apple #ARKit2 #WWDC18 #iOS12 where #AR objects reflect the real-world scene around them like this virtual bowl reflecting a real banana on the table! pic.twitter.com/Ouih720AMA
— Helen Papagiannis, Ph.D. (@ARstories) 2018年6月11日
ARをめぐるAppleのビジョンが実際にどのようなものかは、iOS 12の最終版が登場し、対応アプリがそろうまで分からない。次期iPhoneはおそらく9月に登場するが、ARをさらに改良するためにハードウェアが強化される(たとえば、「TrueDepth 2」カメラなど)のかどうかも、まだ不明だ。
今言えることは、何かとうわさになっているAppleのヘッドセットは(いつ登場するにせよ)、現行のARKitが進化していくたびに、その難題が解消されていくはずだということだ。どこかの時点で、ヘッドセットはデザインやバッテリの制約、妥当な価格設定といった問題に行き着く。ARKitが今後のiPhoneの肝になることは間違いなく、それを別の形に詰め込むというだけの話だからだ。
いずれにしても、AppleはこうしたAR関連の色々な技術を、すでにiPhoneとiPadに搭載し始めている。必要なのは、それをどのようにユーザーの頭に装着させるかを割り出すことだけである。道のりは長いが、根本の部分から取り組んでいく「インサイドアウト」のアプローチが、結局はいちばん賢明な道ということになるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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