産業革命によって短時間に生み出される社会の変革、村上氏はこれを1900年代のニューヨークを写した2枚の写真で説明した。1枚目は1900年のニューヨーク。多くの馬車が走っている様子を見ることができる。そして2枚目は1913年のニューヨーク。馬車の姿はいなくなり、代わりに多くの自動車が整然と道路を走っている。実はこの間、1908年にフォードが生み出した自動車「T型フォード」が大ヒットし、わずか13年の間に世の中の移動手段を変えてしまったのだ。
この自動車という存在を現代のAIに置き換えると、新しい技術による社会の変革は仕事の在り方を変えてしまったことを、この2枚の写真が証明している。「写真を比較すると、馬は仕事を失った。馬をケアする人も仕事も失っただろう。そういう意味では、この13年で従来の仕事のいくつかはなくなってしまったことがわかる」(村上氏)。
しかし、村上氏は新しい技術による社会の変革は世の中に新しい仕事を生み出していることも、この2枚の写真が示していることを指摘する。「この13年で車を整備する人、車を運転する人など新しい仕事を生み出している。“AIが仕事を奪う”という言葉は、実はものごとの片面しか表現しておらず、AIが社会に実装されたときにはさまざまな良い効果を生み出し、より新しい仕事を生み出していく」(村上氏)。
そして村上氏は、こうした社会の変革に個人が対応していくためには、自分自身が“トランスフォーメーション”をしていきながら社会に適応することが重要だと提言した。つまり、冒頭で語った“自分のキャリアを自分自身でマネジメントする”という働き方の変革は、産業革命によって変化していく社会を生きていくためには不可欠なものなのだ。
「不確実性の高い社会を生きていくためには、短い間に自分自身が社会に適応できるかどうかが非常に重要だ。LinkedInに寄せられる企業の求人を分析すると、AI、ビッグデータ、クラウドの領域の求人が急増しており、企業はすでに未来を見据えた投資を活発化している。この1年のデータを比較しても、AIやビッグデータは昨年ベスト10に入っていなかった。こうした変化に対応するためには自分自身を変える必要があり、また自分自身が変われば会社も変わり、組織が強くなってビジネスが成長する。変化はすでに始まっており、すぐにでもアクションを起こすべきだ」(村上氏)。
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