LINEがこのタイミングで「名刺管理アプリ」に参入した狙い - (page 2)

 はい、myBridgeは韓国のRememberが持つ技術やノウハウを利用しています。Rememberは多様な機能を備えていますが、myBridgeは前述のとおりシンプルさを重視し、広告も表示されません。また、myBridgeは日本市場向けサービスであるため、オペレーターによる入力は日本国内で行っています。入力時には、誰が名刺をアップロードしたのか特定できないようになっており、項目別に分割して登録することでセキュリティにも配慮しています。

――たとえば、Wantedly Peopleは最大7枚の名刺を一括スキャンして、AIが即データ化してくれます。myBridgeでは1枚ずつ撮影しオペレーターが手入力する手法をとっていますが、これは高い入力精度を維持するためでしょうか。

 その通りです。ただ、正直なところOCRと人力を掛け合わせると対応する言語範囲が狭まりかねません。現在は精度を優先しており、今後もオペレーターを増員する予定ですが、同じ会社の名刺が登録済みであれば、(企業名や代表電話番号などの)データを利用するなど自動化も推進していきます。現在はOCR入力の仕組みを回して精度を上げている段階ですが、次の局面に進めば複数枚の名刺同時登録も可能になるでしょう。

myBridgeでは精度を高めるため、1枚ずつ名刺を撮影する
myBridgeでは精度を高めるため、1枚ずつ名刺を撮影する

 また、人は当日受け取った名刺のデータ化はいとわなくても、過去に受け取った大量の名刺を目の前にすると二の足を踏むのが一般的です。われわれは操作コストや移行の摩擦を軽減するため、名刺をまとめて預かって登録を代行するサービスや、他社サービスの利用者やExcel(ワークシートファイルで管理している)のデータ移行キャンペーンを展開するなど、さまざまな施策を検討しています。

「紙の名刺」にこだわっていない

――myBridgeのターゲットはすでに名刺管理アプリを利用している層でしょうか、それとも新規層でしょうか。

 myBridgeが目指しているのはB2Bではありません。「個(人)が大事」なのです。旧態依然とした会社の組織体系ではなく、チームやプロジェクトといった個々の集団をエンパワーするため、アプリ名にも「架け橋」を入れました。個人の人脈といったビジネスネットワークをmyBridge内で構築できることを意味します。

 現在ビジネスパーソンは、(1) アプリで名刺管理されている方、(2)アナログな方法で管理されている方、(3)名刺管理されていない方の3層に区分できます。まずは(1)と(2)をターゲットとし、100万人という利用者数を最初の通過ポイントに掲げています。ただし、法人企業のご希望があればもちろんお請けします。

――無料ですべての機能を使えるそうですが、マネタイズについては。

 いつもと同じですが、マネタイズは後で考えます(笑)。今は一定のユーザーを獲得してプラットフォーム化を目指し、広告事業やオプション課金サービスなど具体的な方法を思案しますが、自信はあります。われわれの第一中間点は100万人ですが、名刺管理ソリューションの需要を踏まえれば1000万人規模も可能でしょう。中間点を超えてから広くアピールする流れで、ビジネスや協業を考えていきます。


――LINEに対して、従来の「名刺管理」ではなく「名刺に変わる新たな情報交換の形やツール」を期待している人も多いと思います。

 myBridgeのリリース時に「便利」という一方で、「名刺っていつまであるの?」という声をいただきました。われわれは紙の名刺にこだわっているわけではありません。あくまでもデジタル化を推奨したいのです。その第1弾として、日本のビジネス習慣と密接に結びついている名刺交換という場にデジタルを組み込みたい。たとえば、10年後に名刺交換の習慣があるか分かりませんが、連絡先の交換など名刺交換に準ずる行為は残るでしょう。われわれはその場に携わりたいのです。

 個人的にも名刺交換という習慣は嫌いではありません。アイスブレイク(氷のように固まった雰囲気を和ませ、集まった人々のコミュニケーション促進をうながす行為)という観点からも有益なビジネスツールです。一方で、エモーショナルに訴える要素もあるため、ビジネスネットワークのどのトレンドにおいてもわれわれは寄り添い、あるタイミングでデジタル化を推進したいと考えています。

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