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「足りないのは社内起業家」--三井不動産が「BASE Q」で始める本気のオープンイノベーション

加納恵 (編集部)2018年06月08日 08時30分
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 資本提携や合弁会社の設立など、大手企業×スタートアップの取り組みがここ数年盛んだ。資金や知見などのリソースを持つ大手企業が、アイデアと行動力で進むスタートアップを支えることで、新たなイノベーションを生み出す仕組みは、一見すると理にかなっているように思える。しかし、多くの案件が浮上しながら、一向に日の目を見ないプロジェクトがあることも事実だ。

 三井不動産が東京ミッドタウン日比谷に5月にオープンした「BASE Q」は、新たなプロジェクトである新規事業を大手企業側から支援する新しいビジネス創造拠点だ。独自のオープンイノベーション支援プログラム「イノベーション・ビルディングプログラム」を提供し、大手企業の中に、スタートアップとの橋渡しを担い、新たな事業を推進する社内起業家「イントレプレナー」を育てる。

 スタートアップの発掘に力を入れる企業が多い中で、あえて大手企業側の課題解決に乗り出した三井不動産の目的とは何か。三井不動産ベンチャー共創事業部事業グループ統括の光村圭一郎氏に聞いた。

三井不動産ベンチャー共創事業部事業グループ統括の光村圭一郎氏
三井不動産ベンチャー共創事業部事業グループ統括の光村圭一郎氏

スタートアップはすごく元気になった、もう一方の大手企業はどうか?

――「BASE Q」の設立に至った経緯を教えてください。

 東京ミッドタウン日比谷は、国家戦略特区として、ビジネスをしやすい環境をビル内に盛り込むことを定められた場所です。そのため、6階のワンフロアを新産業創造のために活用することは、もともと決まっていました。

 私自身は三井不動産のベンチャー共創事業である「31VENTURES」の中で新規事業の立ち上げやベンチャー支援を担当していたのですが、2年ほど前にこの場所(BASE Q)をどうするか相談を受け、その時にベンチャー支援をやるのはもう違うかなと。すでに31VENTURESとして活動もしていますし、同様のコンセプトを持つスペースもかなり増えていたので、別の形で新しいことを考えた時に、大手企業にもっと光をあてるのがいいのではないかと思ったんです。

 ここ数年、スタートアップと大手企業の連携によりイノベーションを生み出す大きな流れがあり、スタートアップはすごく元気になりました。どんどん新しいものが生み出されていますし、ベンチャーキャピタルなどの存在もあり、資金も回るようになってきた。ただ、大手企業とスタートアップのオープンイノベーションとして捉えると、成果が見えづらい。それは、私たち三井不動産も含めて、大きな成果はだしていないということなのでしょう。

 スタートアップがこれだけ元気なのに、オープンイノベーションはあまり上手くいっていないように見えるのは、大手企業側にうまくいかない要素があるのだろうと。そこをちゃんとケアしていこうというのが、BASE Qのコンセプトになっています。

 元気なスタートアップに加え大手企業側の仕組みを変える。それぞれが元気になっていくことで、スタートアップ、大手企業の両軸がまわるイノベーションのエコシステムができるのではないかと考えています。

――大手企業側の課題はどんなことと捉えていますか。

 いっぱいありすぎるのですが(笑)、忙しいのも1つの要因ですね。好調な既存ビジネスを受け、社内のリソースが手一杯の時に新しい案件が持ち込まれても、それに対応する余裕というか、吸収できる幅がそれほど多くないため、プロジェクトが進まなくなってしまうこともあるかと思います。

 ただ、私がそれ以上に課題と捉えているのは、イントレプレナー(企業内で新規事業を進める者のこと、「社内起業家」)の存在です。私自身も一人のイントレプレナーとして活動する中で、ぶつかった壁なのですが、社外の人と出会い、議論しあうと「こんなことができたらいい」「あんなことができるはず」というアイデアがどんどん出てきます。

 それを社内に持ち帰り、関連部署に協力を求めながら進めようとしても必ずしもトントン拍子では進みません。アイデアが出たからといって、それを単純に持ち帰るだけでは、新規事業は生まれません。この新たなアイデアを事業化するために突破しなければいけない壁があって、その突破方法を身につけるのが、今回のイノベーション・ビルディングプログラムになります。

東京ミッドタウン日比谷の6階にオープンした「BASE Q」
東京ミッドタウン日比谷の6階にオープンした「BASE Q」

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