サムスンのスマートフォンが「iPhone」の意匠権3件を侵害していると2012年に法廷で認定されてからも、Appleとサムスンは法廷で争っている。Appleは、サムスンに賠償金10億ドル(約1100億円)の支払いを求めている。
8年に及ぶこの訴訟は損害賠償金額を決定する段階に達しており、テクノロジ大手2社の代理人は今週、サムスンが支払うべき最終的な金額をめぐって法廷で陪審員らに各社の主張を訴えた。
両社はAppleの意匠権で保護されるのがiPhoneの一部なのか、それとも全体なのかをめぐって対立している。Appleはサムスンに賠償金10億ドルの支払いを求めているが、これは、サムスンがAppleの意匠権3件を侵害したスマートフォンで得た利益の全額に相当する。
一方のサムスンは、損害賠償をそれよりはるかに少ない金額にとどめようと、陪審員の説得を試みている。同社の主張は、賠償金の対象となる意匠権の侵害があったのは、ベゼルやディスプレイのガラスなどの特定の部品に限られるいうものだ。
この見解は、2016年の米最高裁判所による判決に基づくものだ。最高裁はサムスンに有利な判断を示し、この判決は意匠権侵害訴訟における賠償金額の算出方法を決める基準となっている。
サムスンは当時、賠償金としてAppleに5億4800万ドル(約604億円)を支払ったが、判決では複数の部品で構成される製品について、対象となる「製造物品」はデバイス全体である必要はなく、ベゼルやディスプレイなどの部品のみとすることができるとしている。この判決に基づくと、この支払額から3億9900万ドル(約440億円)が差し引かれる可能性がある。
Apple側の弁護士を務めるBill Lee氏は陪審員に対し、同社は「ほかの何よりもデザインを重視している」として、Appleにとってのデザインの重要性を強調した。サムスンが侵害した意匠権は、iPhoneに特徴的な物理的形状、ベゼル、グリッド状に配置されたカラフルなアイコンに関するものだ。
一方、サムスン側の弁護士を務めるJohn Quinn氏は陪審員に対して部品を掲げて見せ、各部品はそれ自体が製造物品であり、「スマートフォンの内部には数百点の製造物品」が搭載されていることを強調した。
Quinn氏は「Appleが10億ドルの損害賠償額を請求できるとしたら、それはスマートフォン全体が製造物品であると主張する場合に限られる」と指摘した上で、「いずれの意匠権も製品全体には及ばない」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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