フリーランスを支援するウォレットアプリを--MUFG子会社とクラウドワークスが新会社

 クラウドワークスと三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の子会社であるJapan Digital Design(JDD)は5月14日、関係当局の許認可を前提に、ジョイントベンチャーとして「クラウドマネー」の設立を発表した。あわせて、MUFG子会社の三菱UFJ銀行は、クラウドワークスとの連携強化を目的に、同社への出資を決定している。


(左から)Japan Digital Design代表取締役CEOの上原高志氏、三菱UFJフィナンシャル・グループ執行役常務グループCIO兼グループCDTOの亀澤宏規氏、クラウドワークス代表取締役社長兼CEOの吉田浩一郎氏

 新会社の出資比率は、クラウドワークスが66%、JDDが34%。JDDからクラウドワークスに対してアドバイザーを派遣する。同社では、クラウドワークスを利用するフリーランスなどの個人事業主に対して、デジタルウォレットなどの銀行業のほか、フリーランス向けの金融サービスの開発・販売を手掛けるとしている。JDDでは、金融レベルのセキュリティ、オペレーション構築支援、法務整備支援、地方銀行やその他金融機関とのネットワーキングを担当。クラウドワークスでは、プロダクト開発、マーケティング、与信スコア開発、ビジネスオペレーション構築を実施する。

 事業は、3つのフェーズで展開する。まず、クラウドワークス利用者が得た報酬を直接チャージできるウォレットアプリを2018年度末ごろに提供。国際ブランドの加盟店決済をサポートし、報酬管理のほか決済・送金手段としても使えるようになる。また、次のフェーズでは、銀行口座との連動でシェアリングエコノミーやスキルシェア、オークションなど分散する給与や報酬を一元管理できるほか、ECや店頭での決済シーンの拡大、クラウドワーカー向け福利厚生の充実などを図る。最終フェーズでは、独自決済プラットフォームおよび送金ネットワークを開発し、MUFGの海外パートナー銀行と接続。高い利便性かつ安価な決済インフラとして提供するという。


デジタルウォレットを使った事業概要

3つのフェーズでビジネスを進める

働き方の多様化で銀行と労働者の接点がなくなってきている

 MUFGとしては、企業の財務部から社員に支払われる給与など、住宅ローン、投資信託、退職金など、“一括傘型”で会社員との接点を持っていたが、働き方の多様化に合わせて増加したフリーランスやクラウドワーカーの場合、クライアントの分散化や仲介サービスなどの利用により銀行との接点が薄くなっているという。このため、クラウドワークスのユーザー基盤とMUFGの金融サービス、JDDのFinTechの知見を融合。MUFGとしては、今まで取得できなかったフリーランスの報酬・消費データと、それをもとにした個人向け与信スコアリング(クラウドスコア構想)、クラウドスコアを活用した個人向け・SMB向けの融資などFinTech商品を開発するという。


働き方が多様化し、銀行と労働者の接点がなくなってきているという

 ウォレットや決済機能などの実装によって想起されやすいのが独自経済圏の構築だが、そういった施策を打つ予定はないという。JDD代表取締役CEOの上原高志氏は、ウォレットやビットコイン、ブロックチェーンなどテクノロジに走りすぎてしまってはダメだと指摘。「ユーザーからすると、使いたいときに使えて、メリットがあれば使う。ユースケースで魅力的なものが出せるかが大事」と、福利厚生といったクラウドワーカーの悩みを解決するメニューなどを提供することで、自然とウォレットを使ってもらえるようにしたいという。

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