シャープ、増収増益の2017年度も「否定するような大胆な発想」を--放送業界でも存在感

 シャープの代表取締役社長である戴正呉氏は5月11日、「新経営体制のもと、2018年度業績予想の必達を目指そう」と題した社長メッセージを、社内イントラネットを通じて配信した。

 社長メッセージの冒頭には、「ゴールデンウィーク休暇を終え、早くも1週間が経とうとしているが、充分にリフレッシュし、全力で業務に邁進いていると思う。一方、海外関連部門などの一部の社員は、休暇にもかかわらず、出勤してもらった。社員のたゆまざる努力に改めて感謝したい」と、ねぎらいの言葉から始まった。

「どんな困難をも恐れないチャレンジ精神を持つ」

 最初に触れたのは、4月26日に発表した2017年度連結業績についてだ。

 「2017年度決算は、大幅な増収増益、全セグメントの着実な売上伸長とともに、2016年同様に、全セグメントで営業利益が黒字化するなど、好業績を収めることができた。業績予想に対しては、経常利益、当期純利益が予想を上回り、各メディアからは『シャープ4年ぶりの黒字』といった見出しで、高い評価を得ることができた」と振り返り、「2011年度以来、6年ぶりに配当を実施することにした。当社を支えている株主に利益を還元できたことは、ようやく、企業としての最低限の責任が果たせたものと考えている。2017年度に、このような素晴らしい成果を残すことができたのは、社員の皆さんの努力の賜物であり、改めて心から感謝する」とした。

 続けて、「2018年度業績予想の達成に向けて」と題し、2018年度の連結業績見通しについて言及。「売上げ、利益ともに、2017年度を大幅に上回り、中期経営計画で想定した数字を確保する」としたものの、「前回のメッセージでも伝えた通り、当社を取り巻く環境は、競争の激化、需要の低迷、円高の進展など、中期経営計画策定段階よりも大幅に厳しさを増している。この業績予想を達成するためには、社員一人ひとりが、2017年の取り組みでさえ否定するような大胆な発想や、どんな困難をも恐れないチャレンジ精神を持つことが欠かせない」と危機感を訴えた。

 また、「経営体制のさらなる強化を狙いとして、本日の取締役会で、株主総会に提案する取締役候補を決議した。経営陣の総意として、株主総会承認後、私が代表取締役会長兼社長に就任することになった。私は、今回の異動を受け、大変、身の引き締まる思いがするとともに、常々話している私の使命である『中期経営計画達成』に改めて強い責任を感じており、より一層の努力を積み重ねていきたい。加えて、将来に向けて、中期経営計画後の新たな社長の育成および選出と、長期的な安定経営を担うマネジメントチームの編成にも取り組んでいきたい」と述べた。

 「2018年度は、2017年度以上の困難が待ち受けている。経営陣と社員が一丸となって、業績予想の確実な達成に取り組もう」と呼びかけた。

何としても2018年度を「8Kエコシステム元年」に

 続いて触れたのが、「8Kエコシステムへの取り組みの加速」である。4月7日から米ラスベガスで開催した世界最大の放送機器展「NAB Show 2018」に、「Changing the World with 8K」をテーマに初出展し、8Kカムコーダーを使った撮影体験や8Kディスプレイによる高精細表示、医療・教育分野への8Kビジネスの展開などを訴求したことを紹介。その結果、1700社以上の出展社のなかで11社だけが選出された「RED SHARK AWARDS」を受賞したこと、さらに、個別商品でも、8Kカムコーダー、8K映像モニタにおいて、合計で5つの賞を受賞したことを報告した。


放送機器展「NAB Show 2018」に8Kディスプレイ、8Kカムコーダなどを初出展した

 「これは、当社にとって未知の分野であった放送業界においても、8Kエコシステムの取り組みが認められたことにほかならない。2018年12月からの8K放送開始に合わせた『8K AVワールド』の構築を進めるとともに、8Kカメラの次期モデルの開発なども加速しており、何としても、2018年度を『8Kエコシステム元年』と言えるような1年にしたい」と意気込みをみせた。

 最近の社長メッセージで必ず触れている海外戦略についても言及した。戴社長は、「最重点エリアのひとつであるASEAN、台湾については、私が直接、陣頭指揮を執り、常務執行役員 社長室長の橋本(仁宏氏)とともに、毎月、途絶えることなく、社内の戦略討議や対外的なイベントを実施している」とし、「4月のメッセージで、4月初めからシャープマレーシア創業33周年キャンペーンを実施することを伝えたが、その後、1カ月間にわたって、各地での個別イベントを順次開催し、4月は計画を大幅に上回る成果をあげることができた」とした。

 さらに、4月21〜22日に、中国・深センで、「ASEANマーケティングセンター リージョナルコミュニケーションミーティング」の開催を報告。各事業責任者や各販売会社のマーケティング責任者が一堂に会し、お互いに情報交換を行うとともに、域内のブランドイメージの統一と宣伝販促活動のレベルアップについて議論を交わしたほか、ゴールデンウィーク中の5月4〜5日には、ASEAN販社の4月度業績と、次月対策を確認。「スピード感あるマネジメントを徹底しており、こうした取り組みが功を奏し、4月には、シンガポールの子会社であるピー・ティー・シャープ・エレクトロニクス・インドネシア(SEID)が20カ月ぶりに計画を達成するなど、着実な成果が現れている」とした。

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