世界のブロックチェーンコミュニティを結ぶ韓国の「ICON」が日本に進出 - (page 2)

日本でもDAppsやトークンエコノミーがトレンドになる時代に

 ICONでは、日本での展開も進める予定だ。5月8日には、ICO向けファンドを手がける日本のB Cryptosと業務提携を発表した。両社では、ハッカソンやカンファレンスなどの共同開催や、エンジニアコミュニティ、ブロックチェーンスタートアップのインキュベーションを通じ、国内外のブロックチェーンコミュニティの成長に向けた支援で協働するという。なお、ICONでは、LINEが設立したブロックチェーン企業のアンブロックや、カカオ傘下のブロックチェーン企業であるGround Xなどと4月より、毎月韓国でDAppsに興味のあるスタートアップ向けにデモデイを開催している。

 キム氏は、「韓国では、暗号通貨に対する認識が一変して、大企業も独自のブロックチェーンの構築を検討し始めている。ブロックチェーンがもたらす価値を使って、事業そのものを拡大しようとしている」とし、「リバースICOがトレンドとして流行しており、一般のスタートアップや起業家の方が、サービスの一部にブロックチェーンの要素を入れてICOを実施したり、DAppsとして事業を手がけたりしているケースがある」という。

 日本市場についてキム氏は、「暗号通貨に対する関心が高い国。政府としてもレギュレーションの取り組みを先行している。足元では、取引所によるコインの流出問題もあり、金融庁としてもなかなか動きづらいだろうが、日本でもDAppsやトークンエコノミーなど、この流れが今後トレンドとして来るだろう」と説明する。現時点では、仮想通貨取引所に金融庁による仮想通貨交換業登録が必須であったり、ICOについても実施の際には交換業登録が必要なため、ICONで展開しているビジネスを国内にそのまま持ち込むことは現時点では難しい。しかし、今後のブロックチェーンのトレンドによっては、法改正が求められる可能性も出てくるだろう。

 同氏は「仮想通貨に関しては、特に日本で法整備が先に進んだ。今後きちんとしたICOやトークンセールスに関してもルールが整備されてくれば、韓国含め、そのトレンドに合わせて他の国にも影響する可能性がある。私の個人的な意見としては、日本でのルール整備というのは、グロ−バルなブロックチェーンのプロジェクトにおいてはとても意味の大きいものだ」と、国内の法整備が世界のブロックチェーンにおけるルール規制に大きな影響を与えるとした。

 B Cryptosの役割について同社代表取締役社長の本吉浩之氏は、「国内のスタートアップから大手企業まで、ブロックチェーンについて設計から法律面、実装面までさまざまな相談を受けることが多くなった。ICONは、高いブロックチェーンの技術を持っており、検討したい企業に我々からICONを紹介する」ことがメインだという。本吉氏の肌感覚として、BtoC向けのサービスを展開するIT企業からの相談が多いようだ。また、キム氏によると、B Cryptosが政府の規制に沿った形で匿名組合で仮想通貨関連のファンドを組成させている点が、海外の関連するファンドにも影響するだろうとしている。

 また、両社の連携を深めるため、B Cryptosの既存パートナーであるB Dash Venturesの代表取締役社長の渡邊洋行氏がICONのアドバイザーに就任するほか、ICONによるB CryptosファンドへのLP出資、キム氏によるB Cryptosファンドの投資委員会への参画など、両者の連携を強化。キム氏は、「ブロックチェーンのプロジェクトでも、ビジネスとして成り立たないと意味がない。VCとしての知見をお借りしながら企業をサポートしたい」と述べ、「ICONのプラットフォーム、ネットワーク、DAppsプラットフォームを活用し、日本の起業家・スタートアップが分散領域に参入しやすくなる。ブロックチェーンと仮想通貨の領域に関しては、まだ初期段階だと思っている。B Cryptosも含めて、より多くのパートナーと一緒にエコシステムを広げていきたいと思っている」とした。

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