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世界のブロックチェーンコミュニティを結ぶ韓国の「ICON」が日本に進出

山川晶之 (編集部)2018年05月08日 18時00分
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 エンタープライズからウェブサービスまで、さまざまな企業での導入が検討され始めているブロックチェーン。企業向けの分散型情報管理プラットフォーム以外にも、ブロックチェーン上で動作する分散型アプリケーション(DApps:Decentralized Application)にも注目が集まっている。例えばLINEでは、4月にLINE Blockchain Labを設立し、DAppsの開発を目指すと発表している。


(左から)B Dash Ventures代表取締役社長の渡邊洋行氏、B Cryptos代表取締役社長の本吉浩之氏、ICON財団 評議会メンバーのJH・キム氏

 こうした、ブロックチェーンを用いたさまざまなプロジェクトを橋渡しすることで、より発展した分散社会を目指そうとしているのが韓国最大の分散型プラットフォームプロジェクト「ICON」だ。ICONは、韓国ブロックチェーン専業企業であるtheloopが開発するエンタープライズ向けブロックチェーン「loopchain」のコアを、パブリック向けに改良したものがベースとなっている。2017年9月にスイスのICON財団を通じてICOを実施しており、コインマーケットキャップによると時価総額は20位(約1800億円)にランクインしている。

 ICONでは、イーサリアムなどのパブリックブロックチェーンから、「Hyperledger」などを使ったエンタープライズ向けのプライベートブロックチェーンまで、それぞれ異なるガバナンスを持つコミュニティを結ぶことを目的にしている。同財団の評議会メンバーであるJH・キム氏は、「1つのブロックチェーンが世界を制覇するというのは考えていない。それぞれが独立的にエコシステムを構築する」としており、ICONにとって他のコミュニティは“競合”ではないという。

 theloopでは、既存企業との連携を進めており、韓国内の証券会社25社をはじめ、大学、病院、保険会社などと提携し、ブロックチェーンベースの証券コンソーシアム「CHAIN ID」や、高麗大学、西江大学、浦項工科大学と共同で大学向け暗号プラットフォーム「U-coin」などを提供しており、ブロックチェーンを使ったエンタープライズコミュニティを業界ごとに構築。ICONでは各コミュニティの相互接続を予定している。海外でも中国のWanchain、カナダのAIONという2つのチームとアライアンスを結んでいるほか、仮想通貨ヘッジファンドのPanteraもパートナーとして参画。Binance、Huobi、Bithumbなどの取引所にも上場されている。


すでに銀行、証券、大学、保険会社などとloopchainを基盤としたコミュニティを構築

theloopに関連する企業・組織の関係図。DAYLI Intelligenceのアライアンス先として、SBI Ripple Asiaの名前も見える

 ブロックチェーンを使った分散プラットフォームとしてはイーサリアムが代表的だろう。ビットコインの次に時価総額が大きい仮想通貨の一種として語られることが多いが、契約を自動履行するスマートコントラクトを特徴に持ち、DAppsを実行するプラットフォームとして最もメジャーな存在だ。ICONも、「SCORE」と呼ばれる独自のスマートコントラクトを内包しており、ICON上でのDApps構築に加え、イーサリアムの仮想マシン(EVM:主にトランザクションを処理する)をサポート。イーサリアム向けのDAppsをICON上で再構築できるという。こうした特徴から、“韓国版イーサリアム”と呼ばれることも多い。また、トランザクションフィーなど手数料が発生してしまうイーサリアムと異なり、ICONはサービス事業者とユーザー間で負担を自由に調整することや、一定数のICX(ICONの発行する独自コイン)を事業者側がネットワーク上に預けることで手数料の免除なども可能だという。


DApps開発からICO実施までのツールが一通り揃っている

 そのほか、ICONではネットワークに参加するそれぞれのコミュニティに、ネットワークの活性化にどれほど貢献したのかを測定するインセンティブシステムの「IISS」、ブロックチェーン上のガバナンスを管理する「On-chain Governance」、異なるコミュニティで流通するコインを交換できる分散取引所(DEX:Decentralized Exchange)を備えているのが特徴。また、DApps開発ツールの「T-Bears」、イーサリアムなどほかのコインにも対応したウォレット機能の「ICONest」、ICOプラットフォーム「ICONex」などを使うことで、DApps開発からICOまでのハードルを下げることができる。すでに10億円相当のICXを調達したICOプロジェクトもあるという。


ICONの主な機能

 ICONは、ブロックチェーンの課題として取り上げられるトランザクションスピードとスケーラビリティの問題にも対応できると主張する。同プロジェクトでは、LFTと呼ばれる独自のコンセンサスアルゴリズムを実装し、ユーザー全体ではなく、民主主義のようにそれぞれのコミュニティの代表者である「C-Rep」がガバナンスを維持する。このため、1チャネルで毎秒1000回のトランザクションを処理でき、マルチチャネル化することで1秒間で何百万回ものトランザクションを処理できるように目指すという。それぞれのアプリケーションをパラレルに処理できるほか、複数のアプリをまとめて1つのチャネルで処理することも可能。

 なお、イーサリアムのトランザクションスピードは毎秒15回であり、スケーラビリティに問題を抱えているものの、PoS(Proof of Stake)を活用した「Casper FFG」やマルチチェーンを使った「Plasma」、一部のノードによる承認を可能にする「Sharding」など改善機能を開発しており、今後実装するとみられている。

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