仮想通貨交換業者16社は、一般社団法人日本仮想通貨交換業協会を3月29日に設立し、4月23日に設立後初の臨時社員総会および理事会を開催したと発表した。
改正資金決済法による仮想通貨交換業登録を受けた16社は、3月1日に代表者会議で同法第87条の認定団体となることを目指した新団体について、1カ月をめどに設立することを合意。マネーパートナーズおよびbitFlyerの2社を設立時社員として、3月29日に同協会を設立した。
臨時社員総会では、マネーパートナーズ代表取締役社長の奥山泰全氏、bitFlyer代表取締役の加納裕三氏、ビットバンク代表取締役社長の廣末紀之氏、SBIバーチャル・カレンシーズ代表取締役執行役員社長の北尾吉孝氏、GMOコイン代表取締役社長の石村富隆氏の5名を理事に選任。会長には奥山氏、副会長には加納氏と廣末氏を選任している。
奥山氏は、団体設立に向けて「ようやく16社がまとまった形で始動できた状況。ここから急ぎ自主規制を進める中で、市場の健全な発展、仮想通貨に対する利用者の不安を払拭すべく、利用者保護を進める中で信頼回復を進めていき、仮想通貨の一層の発展、一般化を目指したい」とコメントした。
また、加納氏は「関係社が一丸となって、金融機関としての内部統制、サイバーセキュリティ、仮想通貨の技術といったさまざまな課題を整備し、お客様に安心して利用してもらう環境を整備しなければならない」としたほか、「日本の動向は世界中の当局者にも注目されている。日本における当局への活動が世界への規範となり、健全な発展を目指す動きが広がっていくよう真摯に取り組みたい」と述べた。
廣末氏は、「仮想通貨の技術、ブロックチェーンの技術は大変素晴らしいもの。これを社会に適用して、世の中の利便性に貢献しなければならない。昨今のいろんな事件もあって、なかなか業界の足並みが揃っていなかった。一致団結してスタートが切れるのを大変嬉しく思う」とした。
事務局の体制構築はこれからとしており、正会員の会費から、各業者への検査体制、自主規制案に関する各業者へのコンセンサスプロセス、金融庁とのコミュニケーションなどを整備する。自主規制ルールについても、セキュリティ面、内部管理体制面のほか、取引ルールや広告ガイドライン、開示情報の整備についても進めるという。なお、コンセンサスプロセスは、原則16社の全会一致で決めるとしており、「なるべく速やかに」としつつも今後1〜2カ月での認定受理は難しいとしている。
また、ICOや仮想通貨のホワイトリスト(国内では金融庁が認定したコインのみ取り扱い可能)の対応については、4月10日に金融庁が実施した仮想通貨研究会の判断に委ねるとしつつも、交換業者が扱うICOについては金融庁への届け出が必要だという。こうしたICOの制度・発効要件が今後整備されること、投資家に向けた情報開示など、ICOやホワイトリストコインの透明化を積極的に実施するという。
仮想通貨交換業の登録が完了していないみなし事業者については、正会員としての扱いを議論しつつもなるべく受け入れられる状態にしたいという。また、自主規制のボリュームが大きいことから、金融庁から認定を受けられるような自主規制団体のコストを16社ではまかないきれないとしており、申請中の業者にアドバイスなどを提供し、登録業者の増加を後押しすることで体制構築と業界全体の発展を目指すとしている。
理事の任期は1年。仮想通貨交換業者のための自主規制団体となるため、役員人事などは原則交換業者が選任されるという。ブロックチェーンなど技術面をカバーするCTOなどの設置について奥山氏は、「中長期的に考えれば、社外の有識者を社外理事やアドバイザリーとして受け入れながらの検討も考えられる」と、当面は交換業者のみの運営体制を取るとしている。ただし、ブロックチェーン技術は重要であり、各協会との連携、技術委員会などの設置も検討中とした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス