ARは、Appleが2017年9月、「iOS 11」と同時に「ARKit」をリリースして以来、同社にとって大きなテーマとなっている。OSを最新版にすれば、2014年以降に発売された「iPhone」(「iPhone 6s」以降)や、新しい「iPad」でARアプリを実行できる。デバイスのカメラを使って、現実世界の背景に、仮想のオブジェクトを写し出すことができるのだ。
ARの仮想オブジェクトといえば、「Pokemon GO」が特に有名だが、ほかにもカエル(解剖を体験できる)、「LEGO」、GIFなど、いろいろなものが登場している。AppleがARで試みようとしている多くの構想からすれば、これはまだ最初の段階であるように思われる。最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏は以前、AR技術が秘めている影響力はiPhoneのそれに匹敵すると語ったことがあり、先頃、AppleがARおよび仮想現実(VR)のヘッドセットを開発中であることも報じられた。
だが、言うまでもなく、ARに取り組んでいるのはAppleだけではない。GoogleもARには意欲的で、ARKitに対抗する独自のモバイルプラットフォーム「ARCore」を展開している。
Yuma君のほかにも、ARの次なるキラーアプリを作り出そうと考えている開発者は多い。PlaySide Studiosは、iOS専用の「AR Dragon」を発表して、ARで成功を収めた。AR Dragonは、「たまごっち」や「nintendogs」の要素とARを組み合わせた強力なゲームアプリだ。ほかにも2つのプロジェクトが進行中だという。
Halfbrick Studiosは、別の道を歩んでいる。「Fruit Ninja」を作った同社が開発している「Shadows Remain: AR Thriller」は、驚くほど質の高いゲームで、「Heavy Rain」を彷彿とさせる。
AppleのARKitは、登場からまだ1年ほどしか経っていない。発表されたのは、2017年のWorldwide Developers Conference(WWDC)だった。Yuma君はちょうど、そのWWDCのスカラシップ枠を勝ち取り、カンファレンスに参加していた。
「米国に行ってみて、これはスゴい、スゴいと思った。会場を歩いていたら、ちょうどAppleのCEO、Tim Cookさんに会えた。それで、自分のアプリを見せたんだ」。WWDCに参加したときのことを、Yuma君はこう語る。この旅で、Yuma君はMichelle Obama氏にも会った。
「Yumaの頑張りと決意の成果だった。Appleがそれを認めてくれたことを、とても感謝している」と、父親のHendriさんは言う。
だが、もっと重要なのは(少なくとも、11歳のゲーム開発者にとって)、Yuma君がたくさんのARに触れられたことだ。果たして、Yuma君はARに夢中になった。「ARは全般的に、未来を引っ張っていく、あるいは未来の一部になる可能性があると思う」。そう言ってから、しばらく考えてこう付け加える。「なんとなく、ね」
学校も宿題もなく、世界的に認められた開発者という立場でもないとき、Yuma君が特に熱心に取り組んでいるのは、ほかの人に教えることである。自分のYouTubeチャンネル「Anyone Can Code」を持っており、現地時間5月12日には「Melbourne Knowledge Week」に参加して自分の考えを伝えることになっている。
2018年のWWDCでもスカラシップで選ばれており、6月には再び米カリフォルニア州のサンノゼを訪れる予定だ。
「テクノロジを通じて世界を変えたいという夢を、10年後にYumaが実現できていたら、と願っている。でも、まだ11歳だし、これからどうなるかは分からない。来年には、宇宙飛行士になりたいと言っているかもしれない」(Hendriさん)
つまらないテレビの再放送があって、よかった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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