なお今回の決算会見においては、ここ最近のドコモを取り巻く大きな動きに関して、いくつかの質問が挙がった。1つは、「MONO」「M」などの製造で協力を深めていたZTEの動向で、米商務省が米国企業に対し、ZTEへの製品輸出を禁じたことから、同社も少なからず影響を受けることとなる。
吉澤氏はZTEが製造した既存の端末について、修理用の在庫も相当数確保していることから「調達済みの端末は販売を続ける」と話す。ただし、米商務省の影響はAndroidにもおよぶ可能性があり、今後のOSアップデートに関しては懸念もあることから、ZTEに確認した上で対応を検討するとした。また新機種の開発に関しては、「部材がないと物が作れない」(吉澤氏)ことから、現在のところ停止しているとのことだ。
そしてもう1つは、海賊版サイトのブロッキングについて。ドコモをはじめとしたNTTグループは4月23日、政府が緊急対策として、漫画の海賊版サイトのブロッキングを民間企業に自主対応するよう促したことを受け、対象となるサイトのブロッキングを実施すると発表し、大きな波紋を呼んでいる。
今回の措置について吉澤氏は、「我々も『dアニメ』などを展開している。(海賊版サイトが)ネットビジネス、コンテンツの発展を阻害していることは誰もが認めているし、それを見過ごすわけにはいかない」と話した。対応を決めたのは「政府による決定が出てから」とのことで、現在対応に向けた準備を進めているという。
またブロッキングの対象となったサイトは一部閉鎖している所もあれば、名前を変えて復活しているケースもあり、ブロッキング自体の効果を疑問視する声もある。これに対し吉澤氏は、「閉鎖していても復活するかもしれない。次にどうアクションを起こすか分からないだけに、ブロッキングしていくという考えを変えることはない」と、あくまで強気の姿勢を見せた。
一方で、ブロッキングに関しては通信の秘密を侵害するとの声も多く、ドコモは訴訟のリスクも負うこととなる。この点について吉澤氏は「著作権侵害と通信の秘密のせめぎ合いについて結論が出ているわけではない」としながらも、速やかな対応が必要であると自主的に判断し、今回の措置に至ったと説明した。
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