アマゾンにとって家庭用ロボットは簡単?--鍵はクラウドとソフトウェア

Larry Dignan (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2018年04月29日 07時30分

 Amazonが家庭用ロボット事業を立ち上げようとしているという。その家庭用ロボットに何ができるのかは不明だが、1つ確かなことは、同社には既に、このプロジェクトを成功させられるだけのソフトウェアスタックがあるということだ。

 Bloombergは、Amazonの新製品および新サービス開発部門であるLab126が「Vesta」というコードネームで家庭用ロボットを開発していると報じた。Vestaのプロジェクトは、Amazonが2012年に買収したKiva Systemsをベースにしたロボティクス事業とは別の部門だ。Kivaの事業は同社の配送センターの自動化を支援している。

 Amazonにとって、家庭用ロボットはそれほど大きな飛躍ではない。それどころか、Amazonに必要なのは、あとは「Alexa」にボディを与えることだけだ。AmazonのロボットはiRobotのロボット掃除機のように家庭内の雑用をこなすかもしれないし、ただの話し相手になるのかもしれない。医療機関や企業、当然eコマースとの提携もあるだろう。

 Amazonの家庭用ロボットが成功しそうだというのは、同社には次のようなことが可能だからだ。

  • 既存のエコシステムを利用できる(Alexaの開発者やスキルがいい例だ)。
  • ハードウェアを供給できる(Kindle Fireのように)。
  • 機能やスキルをクラウドインフラとAmazon Web Services(AWS)経由で迅速に追加できる。

 実際、最終的には最後の項目にAmazonの家庭用ロボットの成功がかかっている。それを念頭に置いて、Amazonが既に保有しているロボット関連ソフトウェアをざっと見てみよう。ロボットの頭脳処理パーツは以下のように既にあるのだ。

  • ロボットに声とコントロールセンターを提供するAlexa。ロボットのユーザーインタフェースはAlexaになるだろう。
  • 音声とテキストで対話型インターフェースを構築するサービス「Amazon Lex」。Amazon Lexには音声認識および自然言語処理能力があり、チャットボットを作成できる。
  • 画像および動画を解析するコンピュータビジョンサービスの「Amazon Rekognition」。これがAmazonの家庭用ロボットに搭載されれば、何かを修理する必要が生じたときにユーザーに通知する(そして、修理に必要な部品をAmazonに発注する)ことが可能かもしれない。
  • 機械学習機能を持つビデオカメラ「AWS DeepLens」。 DeepLensはカメラ上でディープラーニングモデルを走らせ、解析し、処理する。ロボットに搭載すれば非常に役立つだろう。
  • 機械学習モデルをトレーニングするサービス「Amazon SageMaker」。SageMakerのモデルは直接DeepLensにエクスポートできる。
  • Lambda、Cognitio、CloudWatch、DynamoDBを搭載する膨大なコンピューティングスタックと、多様なモノのインターネット(IoT)関連サービス。

 興味深いのは、ほとんどの家庭用ロボット関連企業は、まずハードウェアを構築してから、エコシステム、クラウドプロセッシング、コンピュータビジョンや機械学習のような技術を追加する段階で苦戦しているようだという点だ。AWSは逆に、スタックから始めてハードウェアに向かっている。こうして考察すると、ハードウェアの設計をうまくやれれば、Amazonにとって家庭用ロボットは簡単なゴールだ。AmazonがEchoシリーズとKindle Fireタブレットを成功させていることを考えれば、家庭用ロボットが同社にとって当然の検討事項だと考えない理由はない。

Amazonが今最も革新的な技術企業といわれる理由を考察する動画

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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