筋萎縮性側索硬化症(ALS)に似た珍しい遺伝子疾患を患っており、車椅子を使用しているBookmanさんによると、ペンシルベニア大学などの大学が単にADAの基本的な要件を遵守するだけでは不十分だという。大学はそれ以上の対策を講じて、全ての学生がキャンパス全体にアクセスできるようにする必要がある、と話す。
「建物や教室にアクセスできるからといって、デスクが適切な高さであるわけではないし、車椅子を使用する講師のために教壇の後ろのスペースが十分に確保されているわけでもない。アクセスには多種多様な側面があるので、可能な限り多くの情報を提供することが重要だ」(Bookmanさん)
Raffelさんも問題意識を持ってもらうことが重要だと考えており、それが社会的な変化につながることを期待している。彼女が誕生日に地図作成のイベントを主催し、自分の友達や家族にそれを体験してほしいと考えたのは、そのためだ。人々に何が問題なのかを単に言葉で伝えるのではなく、実際に示したいと考えた。
Ziv氏もAccessNowアプリを使って、Raffelさんと同様に「マップミッション」を主催したり、ほかの市民団体や企業がそのイベントを開催するのを支援したりしている。
「公共広告をたくさん流すよりも、人々にアクセシビリティが何を意味するのかを効果的に示せる素晴らしい方法だと思う。行動を通して、問題意識を持ってもらうことができる。それは非常に効果的であるだけでなく、楽しい経験にもなり得る」(Ziv氏)
フィラデルフィア郊外でコミュニティーオーガナイザーをしているSharon Pennockさんは、イベントの開催場所を見つけるため、アクセシビリティに対応したミーティングスペースを探すいくつかのアプリを使ったことがある。しかし、Pennockさんによると、依然として直すべき問題点があるという。例えば、いくつかのサービスは十分な量の情報を収集していない。大量の情報を提供できる機能を備えたサービスもあるが、情報が多すぎるために、そのアプリのユーザーが自分の知りたい情報を検索して見つけるのが難しい場合もある。
「Googleにそれらのサービスや機能が全て含まれていたら、ずっと楽だと思う。皆がGoogleを利用しているのだから」(Pennockさん)
しかし、Googleのサービスでさえも改善の余地がある。Googleマップでローカルガイドを利用し、そこに情報も提供しているLeeさんによると、インターフェースの使いやすさや見つけやすさをもっと向上できるはずだという。
「インターフェースがアプリ上の少し分かりづらいところにあるので、直観的に見つけられるとは言い難い。それでも、このサービスに挑戦してくれたGoogleには敬意を表したいと思う。何事も始めないことには始まらないからね」(Leeさん)
アクセシビリティ運動に元気づけられたRaffelさんは、障害のある人々が、レストランに車椅子で入れるトイレがあるか、あるいは、地下鉄の駅に正常に動作するエレベータがあるか、といったことをアプリでいちいち確認しなくてもいい日が来ることを願っている。
「行きたい全ての場所がアクセシビリティに対応しているのが、理想の世界だ」。それが現実になるまで、これらのアプリが改善され続けることをRaffelさんは願っている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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