不登校の子どもに対しては、NPO法人などが経営するフリースクールでのサポートもある。子どもの新たな居場所として、保護者のストレスをケアする場所として、フリースクールは重要なサードプレイスになっている。クラスジャパンは、そこに選択肢のひとつを増やしたいと考えている。中島氏は「不登校は進路の問題」だと捉えているという。
「不登校の子どもを休養させることは大切だが、どこかで進路は考えなければならない。家にいること自体が学校復帰になるように、クラスジャパンでは学校と連携して成績を付けることができる。不登校の問題には、さまざまな機関が頑張っているが、点と点だ。この点をつなげて仕組みにしたい。たとえば、自治体と組むことで公民館を借りられる、学習塾が空いている昼間を活用する、フリースクールと連携するといったことだ。本来は行政がやるべきだが難しい面もある。そこで、クラスジャパンが仕組みにして不登校の小中学生20万人を救いたいと考えている」(中島氏)。
クラスジャパンは、Classiが提供するサイトにログインして利用する。Classiのプラットフォーム上にその子が学ぶべき教材があり、ホームルームや部活動の場が用意されている。担任が進捗を管理し、カルテにしていく。
また、自宅学習ではペースが保てず、ほんの数カ月で学力が明確に落ちてしまう。そのため、子ども目線で学習を楽しめる仕組みを考えている。参考にするのはN高だ。プログラミング講座は、DeNAやサイバーエージェントと組んで用意する。VRで地層発掘できる講座も開発中だ。
不登校の子どもは健康診断が受けられないという問題も抱える。生活リズムの乱れ、食生活の乱れが起きやすい毎日を過ごす子どもたちだからこそ、本来は正しい健康チェックが必要だ。そこで、クラスジャパンはオンライン健康相談プラットフォーム「first call」とも連携した。内科、外科、心療内科など10万人の医師がネット上におり、自宅にいながら子どもの健康不安を解消できる。
学習状況と健康状態がクラスジャパンから連絡されるため、不登校の小中学生を持つ保護者の不安が解消される。今後は、母親の会など母親同士が実際に会うグループワークを検討しているという。
不登校の小中学生を持つ保護者なら、クラスジャパンへの入校を検討する人も多いだろう。クラスジャパンを利用するには、まず住んでいる市区町村とクラスジャパンの提携が必要だ。その第1弾として、3月7日に島根県益田市との提携をスタートした。行政が小中学校へ提携に関する通知を出し、そこから不登校の小中学生も含めた児童、および保護者に周知される。利用したいという希望があったら、クラスジャパンが委託を受けてサービスを利用するという流れになる。
「1992年から、"登校拒否"は"不登校"と呼ばれるようになった。登校拒否は悪いイメージがあったが、不登校にはなく、市民権を得た。それは救いではあったが、その結果居場所がなくなってしまった子どももいる。その切実な声を聞いているのに、何もできないことに罪悪感を感じていた。益田市との提携で成功事例ができれば、他の市町区村も参入しやすくなる。学校の力を使うことが教育改革の始まりになる可能性がある」ーー中島氏は不登校の問題の解消には教育改革が必要だと熱く語った。クラスジャパンとClassiのチャレンジは、今後も続いていく。
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