Facebookの無料サービスを不正利用から保護する計画の一環として、同社はサイバーセキュリティおよび投稿監視のための雇用を倍増し、2018年中に2万人にする。能力の高い技術職を見つけるのが既に難しくなっている現在、これは容易なことではない。
だが、サイバーセキュリティとプライバシーの専門家たちは、Facebookはさらに大きな問題に直面していると指摘する。それは、採用したすべての従業員を、Zuckerberg氏とFacebookが渦中にある問題(ユーザーデータプライバシー、虚偽ニュース、ヘイトスピーチ、外国政府による選挙介入など)の解決に確実に集中させることだ。
Facebookは目標数に向けて雇用を進めている。Zuckerberg氏は米国時間4月9日、既に5000人を新たに雇用しており、あと5000人を年内に採用したいと述べた。これは莫大な投資だ。この投資のために、同社の2018年の支出予算は123億ドル(約1兆3000億円)近く膨らみ、合計で327億ドル(約3兆5000億円)以上になる可能性がある(2017年の総支出は205億ドル以下だった)。
Zuckerberg氏は、2016年の米大統領選中にロシアのトロールがFacebookを利用してプロパガンダや偽情報を拡散した問題に対処する上で、同社の収益性が打撃を受けるのは必要なことだと語った。同社はその後、別の問題にも対処している。Cambridge Analyticaという政治コンサルティング企業がFacebookの8700万人分のユーザーデータにアクセスできたという問題だ。
雇用の取り組みは偽情報の阻止が目的だが、論争は、果たしてFacebookは同社が集めているユーザー情報を信頼して任せられる企業なのかという根本的な疑問を含むものに急激に拡大している。同社の2017年の総売上高は410億ドル(約4兆4000億円)近くだったが、そのほとんどはユーザー情報に基づくターゲティング広告によるものだ。先週、複数の米議会公聴会で質問に答えるためにワシントン入りしたZuckerberg氏は、開発者やサードパーティーアプリがどのようにFacebookのサービスを利用していたかを十分に把握していなかったことは同社のミスだったと認めた。
第44代大統領のサイバーセキュリティ委員会の一環としてBarack Obama政権に助言したサイバーセキュリティ専門家のEric Cole氏は「つまり、一定のユーザー情報保護があると認識されていたが、それが存在しなかったことに人々が気付きつつある」と語った。Facebookの新たな雇用や同社が提示した修正についてユーザーが知りたいのは、「それでこの問題が実際に解決するのか?」ということだ。
Facebookにコメントを求めたが、回答はなかった。だが、Zuckerberg氏は公聴会の証言原稿に「セキュリティのために多額を投資するようチームに指示した。これにより、今後の当社の収益性に顕著な影響があるだろう。だが、われわれの優先事項が何かをはっきりさせておきたい。Facebookのコミュニティを守ることの方が、収益を最大化することよりも重要だ」と記している。
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