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不動産経験者ゼロで「IESHIL」を立ち上げ--リブセンスが作り変える“業界の慣例” - (page 3)

加納恵 (編集部)2018年04月20日 08時30分
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「住んだ後に知る情報をなくす」ことで現状の自宅を選びを変えていく

――不動産を購入後に後悔しない買い物にしていきたいですね。

 そのためには不動産情報をオープンにすることと同様に、周囲の環境について知ることも大事です。IESHILが提供する不動産業者専用ツールとして「IESHIL CONNECT(ベータ版)」では、地震や洪水などの災害リスクや物件情報などの住環境データを物件ごとに検索閲覧できるようにしています。また3月からは首都圏1都3県の私立、公立小中学校の学区情報の提供を始めました。

 例えば、小学校が近くにあるからと選んだ物件でも、自宅から小学校までの間に大きな道路があって、交通量が多いとなれば、その物件を選ばないケースも出てきます。ただ、これは不動産情報には当たりませんから、住んでみるまでわからないことが多い。現状の自宅選びでは、住んだ後に知ることがすごく多いような気がしていて、これはなんとかならないかといつも思っています。


「IESHIL CONNECT(ベータ版)」の学区情報提供。首都圏1都3県の私立、公立中学校に対応している

「IESHIL CONNECT(ベータ版)」の災害リスク可視化

 こうした周辺情報は、ウェブ上でのオープンデータが統一されていないなどの理由により不動産の営業担当者も情報取得に時間やコストがかかり、適切に情報提供ができない、担当者によって知識に差があるなどの課題もあります。営業担当者はお客様とのコミュニケーションに多くの時間が使えることが本来の業務であり、こうした周辺情報の提供は、あくまでサービスの一部であることも否めません。

 そうした本質的な業務以外の部分をIESHIL CONNECTで補っていただくことで、営業担当者は手間をかけず、お客様には適切な情報を提供できます。

――確かにこの部分はITならではの活用法ですね。

 リブセンスの不動産ユニットが掲げる大きなミッションは、不動産業界の透明性を向上させることです。そのためにIT企業としてできることは、ユーザーとなるお客様だけではなく、お客様の最も近い場所にいる営業担当者の仕事を効率化し、活用しやすいデータを提供することで不動産取引の質を上げていくことです。これが今の日本の不動産テックに求められていることだと思います。

――日本の不動産テックは始まったばかりですが、旧来のやり方と軋轢を感じることはありますか。

 2016年の前半までは、新しいがゆえに敬遠されることもありましたが、それ以降は不動産会社の方々が、不動産における新たなIT化に興味を持ち始めていただけたかなと思っています。リブセンスの取り組みをそういった企業の方にご紹介することも増えましたし、価格査定のサイトを作られる大手不動産会社も出てきて、良い流れが生まれていると思っています。

 私自身はITはツールの1つと考えているので、ある意味紙やファックスと同じです。初めはとっつきにくいと感じるかもしれませんが、テクノロジを使うことで利便性は向上しますし、今までとは違うことができます。今までの仕事を奪うものではなく、新しい便利なツールとして不動産テックを広げていきたいです。

――不動産は取引頻度が少ないために、不動産テックの普及スピードも遅くなってしまうことが考えられます。より広めていくための施策はありますか。

 不動産は売り買いする回数こそ少ないですが、検討期間は長いですよね。売買経験者がその検討期間中にどんな物件に興味を持ち、何回足を運び、どのエリアに注目しているかといったデータは、これから住宅の購入を検討するお客様にとってもとてもいい情報になると思いますので、こうしたデータを広く伝えていきたいと思っています。

 これは、求人情報サービスにも言えることで、転職も不動産売買もある意味人生でそれほど多く経験することではありません。経験回数が少なく、じっくり検討したいことだからこそ、欲しい情報が得られることに価値があると思っています。今までとは異なるデータを収集・分析して、新しいサービスを作っていきたいと思っています。

インタビュアー

赤木正幸

リマールエステート 代表取締役社長CEO

森ビルJリートの投資開発部長として不動産売買とIR業務を統括するとともに、地方拠点JリートのIPOに参画。再生エネ業界においては、太陽光パネルメーカーCFOや三菱商事合弁の太陽光発電運用会社の代表取締役社長CEOを歴任。政治学修士、経営学修士、コロンビア大学とニューヨーク大学にて客員研究員。

 

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