Appleは3月27日にシカゴで開催したイベントで、教育向けの製品とサービスを発表した。教育市場はAppleにとって長らくブランドの核に置いてきたが、米国市場ではGoogleの無料のクラウドと、iPadより大幅に安いChromebookによって主導権を完全に奪われてしまっていた。
今回のイベントは、シリコンバレーの外、しかも全米で3番目に大きな学区を持つシカゴでイベントを行うことで、再び教育市場を取り戻そうという強い意志が垣間見られた。
ハードウェアはiPad(第6世代)が登場した。329ドルに値下げしたiPad(第5世代)と、iPad Proに限ってきたApple Pencilの対応、A10 Fusionへとプロセッサを刷新した。
価格やデザインも変えず、1万800円と高額のApple Pencilに加え、iPad(第6世代)専用のLogitech「Crayon」スタイラスを教育機関向けに49ドルで紹介し、iPad Pro 10.5インチに比べておよそ半額でペン対応のタブレット環境を提供した。
またPages/Numbers/Keynoteといったアプリを手描き対応し、後述のSchoolworkと組み合わせて生徒と先生でドキュメントにリアルタイムにペンで参加する仕組みを整えた。
iPad(第6世代)は、これまで動機を作り出せずにいたタブレットにとって初めての「買い換えのきっかけ」となる。またiPad Pro以外にも幅広いユーザーがペン対応のiPadを手にすることになるため、Apple Pencilをサポートするアプリ市場にも注目が集まるだろう。
またAppleはiPadを教室で活用するためのアプリ「Classroom」のバージョンアップによって、1台のiPadを複数の人で共有する機能を強化し、教育用Apple IDに対して200Gバイトの無料iCloudストレージを提供した。
さらに、「Schoolwork」という新しいアプリを提供し、先生がメールを使わず、生徒に対して課題を設定する仕組みを作り出した。これにより、特に小学校でGoogleのG Suite for Educationが提供するGmailを利用する必要がなくなり、Appleのエコシステムのみで教室の環境を整えられるようになった。
またSchoolworkでは、課題にアプリの中のコンテンツを指定することもできる。そのためのAPI「ClassKit」も併せて発表された。
最後に、これまでAppleは、プログラミング学習をiPadで行うことができるカリキュラム「Everyone Can Code」を教員向けに提供してきた。このカリキュラムの第二段となる「Everyone Can Create」も発表された。
これはコンピュータを道具として用いる際に、生徒たちによりクリエイティブな体験をもたらす方法を説くカリキュラ ムだ。同時に、ブラウザベースで性能もまちまちなChromebookでは実現できない領域であり、iPadを教室に持ち込む上でより魅力を作り出すことになる。
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各機能については既にアナウンスされてきたが、iOS 11.3には2017年12月から問題となっていたiPhoneのパフォーマンスを電池の劣化具合に応じて制限する機能に関連する改善が含まれている。
これまでユーザーは、自分のiPhoneのパフォーマンスが制限されているのかどうか知ることができなかった。しかしiOS 11.3にアップデートしたiPhone 6以降のデバイスでは、「設定」アプリの中にある「バッテリー」の設定画面で、バッテリの健康状態とパフォーマンス制限の有無を調べることができるようになった。
加えて、iOS 11.3からは、端末のプライバシー情報にアクセスする機能を用いる際、青い人が握手をしているプライバシーアイコンが表示されるようになった。Facebookのプライバシー情報流用問題で個人情報にセンシティブになっている昨今において、もともと準備していた機能とは言え、非常にタイミングの良いアップデートとなった。
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