ビジネス創出の鍵は“技術から入らない”こと--「第2の創業」を目指すセブン銀行

 朝日インタラクティブは2018年2月27〜28日、都内で「CNET Japan Live 2018 AI時代の新ビジネスコミュニケーション」と題したイベントを開催し、ビジネスを成長させるコミュニケーションのあり方を議論した。本稿ではセブン銀行の取り組みを紹介する。


セブン銀行 常務執行役員セブン・ラボ担当 松橋正明氏

 国内店舗数2万を超えるセブン-イレブンをはじめとする、セブン&アイ・ホールディングスの一員であるセブン銀行は2001年に設立され、ATMサービスを筆頭に多くの金融サービスを提供してきた。すでに2万4000台以上のATMが各店舗や交通機関、ホテルなどで稼働し、提携金融機関の数は約600社に至る。

 「仕事が趣味のひとつ」と自負するセブン銀行 常務執行役員 セブン・ラボ担当の松橋正明氏は、ATMの設計について強いこだわりを持ち、打鍵感やタッチ音など技術者視点で取り組んだ一方で、「顧客満足度に対する要求はとどまらず、我々が足踏みすると(他のサービスに)埋没してしまう」と同氏は語り、これを避けるため、ユーザー体験にも注力したという。


 そのセブン銀行が次に目指すのが、社内外コミュニケーション強化による事業創出である。同社は社会的課題が背景にあり、そこに消費者のニーズがあってこそ、サービスや製品の開発につながるという。その際に重視するのが「技術から入るのではなく、お客様や社会にとって価値のあるサービスを提供するために必要な技術を取り入れる」(松橋氏)という観点だ。

 しかし、AIにおいては、今後の活用の広がりを見越し、現在の業務を棚卸し実現したい姿を描く。その次にAIにデータを保有させ、検証をPoC(概念実証)でトライアンドエラーを実施する。さらに再定義や試行を繰り返し、機械学習から得た知見をビジネス創出につなげるため、目的や用途に応じた技術を使い分けていると同社は説明する。

 例えば、ATMへ補充する現金のマネジメントは過去5年分の取引や天候データを元に、現金欠品の防止や補充の最小限化、全体最適化を目的とする運用高度化を実現するため「Heterogeneous Mixture Learning(異種混成学習)」を用いている。詳細は割愛するが、金融犯罪対策についても、多様なデータを深層学習や時空間データ横断、プロファイリングなどの技術との組み合わせを検討したという。

 また、ATMの保守最適化について「年1回の点検が一般的なところ、しきい値管理を自動化し、部品交換のオンデマンド化を目指し、次期ATMでの実装を検討している」(松橋氏)と、さまざまな取り組みを披露した。


セブン銀行は、現金需要を割り出すために実績とAIの差異を分析し、より明確な予測を導き出す取り組みを行っている

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