ビジネス創出の鍵は“技術から入らない”こと--「第2の創業」を目指すセブン銀行 - (page 2)

 これらの取り組みは現在進行中のため、具体的な成果に至っていないが、松橋氏は「現在保有しているデータにこだわらない。長期戦略を考え、データセットとの再編やセンサ追加による情報追加を考える」など、AIやデータを主眼とせず、実現すべき世界を追求することが重要だと強調する。

 同時に、同社が積極的に取り組んでいるのが新規事業へのチャレンジだ。同社は「第2の創業」を目指すために新規事業を担う組織「セブン・ラボ」を設置し、「イノベーションを起こすにはさまざまな知見が必要」(松橋氏)との理由から異なるスキルと価値観を持つ人材を集めた。

 セブン・ラボでは、関連した部署と協働で、オープンイノベーションを求めて社外ベンチャーと共に取り組んだハッカソンや、未来のサービスを次世代ATMで開発する「ATM Open Innovation」などさまざまな取り組みを続けている。ATM Open Innovationでは、社内外からアイデアを募集し、事業創出に至る可能性があれば、社内の発案者はセブン・ラボに異動して、そのまま検討・開発を続ける仕組みを用意した。

 これらの仕組みについて松橋氏は、「自律的に動く小さなチームを作り、課題は走りながら考える」のがポイントだと語る。最近はアクセラレータ(ビジネス化を加速させる専門家)を自称する松橋氏は、チャレンジングな事業は1人ではできない。役員クラスが先頭を切って指揮しつつ、社内・社外のアクセラレーションのいいとこ取りで進めるべきと主張。チャレンジの成否は「アクセラレータのコミュニケーション能力に左右される」と強調する。


チャレンジの成否は、アクセラレータのコミュニケーション能力に左右されるとする

 だが、アクセラレータが新規事業だけに目を凝らすもの得策ではない。松橋氏は「『基幹事業』と『新規事業』の両方を見るマインドセットが必要。各事業で異なる価値観を持って取り組み、全体を俯瞰(ふかん)しながら、経営陣と現場の声を通訳する立場で今後も挑戦したい」と今後の取り組みに対する展望を語った。

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