プレミアムインタビュー

"コミュニティ"がポジティブな力を最大化する--フェイスブック ジャパン長谷川代表の手応え


 いまや利用者だけでなく、多くのビジネスパーソンにとっても欠かせないコミュニケーションツールとなっている世界最大のSNS(ソーシャルプラットフォーム)「Facebook」。その日本拠点、フェイスブック ジャパンの代表取締役である長谷川晋氏とは、どのような人物なのかーー。

 「事業」「組織」「日常」の3つの視点から深堀りすることで、同氏の素顔に迫った。(全3回)。第1回の「事業編」では、日本代表に就任してから2年間の手応えや、2017年に大きく変更した企業ミッションについて聞いた。

ーーまず、日本におけるFacebookとInstagramの利用状況を教えてください。特に、2017年はInstagramの成長が顕著だったかと思います。

 われわれは利用者の年齢層など詳細な利用実績は公表していないのですが、グローバル、国内ともにある程度手ごたえを感じています。国内であればFacebookが約2800万の月間利用者数、Instagramが2000万の月間アクティブアカウント数を超えましたので、どちらも比較的に順調に来ているかと思います。

 Instagramの成長については、我々もすごく感じています。私が代表に就任したのは2015年の10月なのですが、その時の月間アクティブアカウント数は800万だったんですね。それが2年後の2017年10月には2000万なので、かなり急激なペースで増えていることになります。また、アカウント数だけでなく「インスタ映え」という言葉自体を流行語大賞にあげていただいたりするなど、多くの方の表現方法だったり、購買行動だったり、そういったものにポジティブな影響与えているプラットフォームになっているのかなと思いますので、すごく嬉しく思っています。

ーーLinkedinがそこまで普及していない日本では、Facebookをビジネスに活用している利用者も少なくありません。

 Facebookは実名制での登録が必要となり、利用者が本名を使ってリアルな人と人とコミニケーションする場ですので、当然その中にビジネスとして活用するという用途が入ってくるのはすごく自然なことかなと思っています。また、仕事での利用というところでは、2017年の5月に「Workplace」というFacebookと同様のUIを適応した社内コミュニケーション用サービスの提供を日本国内でも始めました。日本における働き方改革に、何かしらテクノロジを活用して貢献したいという思いで正式ローンチさせていただいたのですが、かなり多くの日本企業で使われる事例が増えています。


2017年5月にリリースされた「Workplace」

 たとえば、ある金融機関では頭取が全社員に向かってWorkplaceのライブ配信機能で挨拶をして、それに対していいね!やコメントが飛び交うといった、これまでになかったような社内コミュニケーションのフローが生まれ、とても喜んでいただいています。

 また、すでにFacebookを使っていただいている企業では、全く同じ操作でWorkplaceも利用できますので、社員に使い方を教え直す必要もありません。ビジネスアカウントとプライベートアカウントを完全に分けることができ、Facebookの友人に間違って情報を送ってしまうといったセキュリティ面でも、安心してご利用いただけるところは高く評価していただいていますね。Workplaceによって、社内コミュニケーションがもっと自由で、階層のないものになっていけばと思っています。

ーー長谷川さんがフェイスブック ジャパンの代表に就任して2年が経ちましたが、日本における事業成長に対する手応えはいかがですか。

 フェイスブック ジャパンの注力エリアは、(1)利用者・コミュニティをエンパワーする、(2)企業のビジネス成長のベストパートナーとなる、(3)テクノロジを通じて日本社会に貢献という、大きく分けて3つなのですが、それぞれで進捗もありこの2年間で手ごたえを感じているというのが率直な感触ですね。

 利用者やコミュニティのエンパワーメントについては、これまでさまざまな機能をリリースしてきました。たとえば、FacebookでもMessengerでビデオチャットができる「グループビデオチャット」や「Live With」の提供により、ライブ動画に友だちを招待できるようになりました。さらに、災害が発生した時にその地域の人たちが助け合えるようにする「災害支援ハブ」など、幅広く利用者やコミュニティをサポートできるような機能をいろいろと実装してきました。また、2017年はカメラエフェクトに注力するなど、Facebookでもビジュアルコミュニケーションのメインストリーム化に対応し、最新のテクノロジを活用した機能提供をしています。

 Instagramについても、かなりコミュニティが広がってきていて、特にストーリーズ機能をたくさんの方に使っていただいています。投稿した写真や動画が24時間で消えるので、今までとは違うカジュアルな形で遊び心を持って自己表現ができ、多くの利用者のコミュニケーションや情報発信に役立てているのではと思っています。


Instagramの24時間で投稿が消える機能「ストーリーズ」の世界でのデイリーアクティブアカウント数は3億におよぶ

 企業のビジネス成長のサポートについては、両プラットフォームにおいてモバイルに最適化されたクリエイティブの事例も増えてきましたし、テレビという非常に影響力のある媒体と、FacebookやInstagramをどう組み合わせて相乗効果を図るかというところでも事例が出てきています。モバイルならではのソリューション提供に注力し、あらゆるサイズのビジネスのサポートをさせていただく中で、ビジネス利用の広がりに手応えを感じています。

 社会貢献については、テクノロジを活用した地域活性化などにも力を入れています。たとえば、長崎県の壱岐島の小さな果物屋さんはFacebookを使って販促をすることで、店舗の認知を拡大しています。そういった企業規模や業種にかかわらず、いろいろな形で活用していただけるようになってきているという点で、幅と深さが一歩前進できたのではという感覚があります。

ーーFacebookの各国のトップともコミュニケーションをする機会は多いかと思いますが、日本市場はどう評価されているのでしょう。

 各国からの日本市場に対する、関心・興味はかなり高いと思っています。Facebookの本社からも幹部クラスのメンバーや製品のトップがよく来日していますし、2016年はInstagramの創業者も来日しました。彼らと話していても、日本市場から学びたいという姿勢が見られます。

 その要因は2つあると思っています。1つは日本がモバイル先進国として見られていることです。日本の国民は、スマートフォンが登場する前から携帯電話(ガラケー)でありとあらゆることをしてきたと思うんです。音楽を聴くのは当たり前で、占いや買い物など、さまざまなことをしてきた国ですので、モバイル先進国としていろいろと学べることがあるということです。

 もう1つは、ビジュアルの面でも、日本の文化からいろいろと学ぶことがあるということです。たとえば、2016年に世界中で「いいね!」以外の感情(「超いいね!」や「悲しいね」など)を表現できるようになりました。このリアクション機能は、日本の絵文字からインスピレーションを得て生まれたもので、いまや月間21億人の感情表現を豊かにしている、これはすごいことだと思います。また、これはポジティブな例ではありませんが、東日本大震災では、Facebookが安否確認に使われました。そのことがきっかけとなり「セーフティチェック」(災害時安否確認機能)が生まれ、いまでは世界中でテロや災害時に活用されています。そういったものも含めて、日本市場から学びたいという姿勢をすごく感じています。


感情表現のリアクションは日本の絵文字をヒントに生まれたという

ーーFacebookは2017年6月に、これまで掲げてきた「よりオープンでつながった世界を実現する」という企業ミッションを、「コミュニティづくりを応援し、人と人がより身近になる世界を実現する」という内容に変えましたが、改めてその狙いを教えてください。また、その上で日本ではどのように取り組んでいくのでしょう。

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