AmazonとAppleが自社の従業員という、いわば利用者サイドから医療サービスに目を向けているのに対し、Microsoftは、研究者や医師のニーズを満たすという視点から、自社のクラウド資産の活用にフォーカスしている。
Microsoftは2017年2月、医療に注力する研究組織「Healthcare NExT」を新たに立ち上げると発表した。それから約1年を経た2018年2月28日、HIMMS(Healthcare Information and Management Systems Society、医療情報管理システム協会)の医療ITカンファレンス開催を間近に控え、さらなる「インテリジェントヘルス」のための医療サービスおよびソフトウェアを展開している。
Microsoftは28日、「Microsoft Genomics」サービスを一般公開すると発表した。これは「Microsoft Azure」クラウドで稼働する、医療専門家のためのプレシジョンメディシン(精密医療)/遺伝情報処理サービスだ。これに加えて「Azure Security and Compliance Blueprint: HIPAA/HITRUST - Health Data & AI」も、同日から一般公開される。こちらは個人情報に関わるデータを扱う医療機関を対象に、Azureへの移行を支援するガイダンス書類だ。
Microsoftはまた、「Microsoft 365 Huddle Solution」として、新たな開発者テンプレートを公開する。これらのテンプレートは「Microsoft Teams」に対応しており、医療従事者がワークフローの作成と管理に、Teamsを活用しやすくするものとなっている。さらに同社はピッツバーグ大学医療センター(UPMC)と共同で、医師のメモ作業の負担を軽減するシステム「Project Empower MD」の開発にも取り組んでいる。
Microsoftは、医療情報のオンライン管理サービス「Microsoft HealthVault」の運用を継続する一方で、Healthcare NExT部門がまずフォーカスするのは、増大する医療データに対応する強大なクラウド処理能力と、AIを用いたスマート機能の活用だとしている。
Microsoft AI + ResearchのコーポレートバイスプレジデントでHealthcare NExTを率いるPeter Lee氏は、「当部門は株式投資も行うし、企業との契約も結ぶが、研究に重きを置いた組織だ」と述べた。「われわれはMicrosoftにとって損益を担う部門ではない。この組織は、Satya(最高経営責任者(CEO)のSatya Nadella氏)とHarry(研究トップのHarry Shum氏)の発案で生まれたものだ」とLee氏は語った。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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