考えに行き詰まったとき、「別の視点から見てみる」とはよく言われる。だが、案外それは難しいことにすぐに気がつく。そもそも「別の視点」とは何なのか。「同じ人間の考えることなのだから、そうそう新たな視点など出てくるはずもない」と愚痴りたくもなる。本書は、そんなときに、「じゃあ、分け方を変えてみたら?」と言われたような気がする。
「分け方」と聞いてすぐに思いつくのは、食べ物を分けるときのこと。本書にも、ピザの例などが挙げられているが、ピザを食べようというときに「なぜその分け方なのか」についてまで、考えてみたことのある人はあまりいないのではないか。他にも、部屋のレイアウト(部屋の分け方)、会議を活性化するための分け方、ホワイトボードの分け方などが紹介されているのだが、これらは手軽でありながら、なかなか思いつきにくい方法だと思われるので、すぐに会社などで取り入れられる。
主には、ビジネスに生かされている例が数多く挙げられているが、人とのコミュニケーションについても言及されている。一見、関係なさそうに見えるが、読み進めてみると、なるほど「分け方」ひとつで心の持ちようも変わるなと驚かされる。まず、取り組んでみたいのは、むしろこちらの分け方かもしれない。
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