ともにAlphabet傘下のGoogleおよびライフサイエンス企業Verily Life Sciencesによる新たな研究が、ディープラーニング(深層学習)アルゴリズムを利用して人の網膜の画像を分析することで、心血管疾患のリスクを予測できることを示した。
両社の科学者らが研究成果をまとめた新たな論文は、医用生体工学分野の学術誌「Nature Biomedical Engineering」に掲載された。論文の題は、「Prediction of cardiovascular risk factors from retinal fundus photographs via deep learning」(ディープラーニングを介した網膜眼底画像からの心血管系危険因子の予測)だ。
網膜眼底画像には目の血管も写る。論文によると、この血管の画像を利用することで、心血管疾患の危険因子を正確に予測できるという。そうした因子には、喫煙習慣の有無、血圧、年齢、性別、心臓発作の病歴などが含まれる。また、このアルゴリズムを利用することで、やはり心血管系疾患の因子である人種を推測することもできる。
Google Brain Teamで製品マネージャーを務めるLily Peng氏は次のように記した。「28万4335人分の患者データで学習させたディープラーニングのアルゴリズムを利用することで、1万2026人の患者のデータセットと999人の患者のデータセットを対象に、網膜画像から心血管系危険因子を驚くほど正確に予測することに成功した」
学習に用いたデータセットは、UK Biobankの4万8101人分のデータベースと、EyePACSの23万6234人分のデータベースで構成された。
この論文が指摘しているように、心血管系疾患のリスクを評価するには、患者の病歴や血液サンプルを利用する方法もあるが、コレステロール値などの重要な情報を欠く場合がある。
網膜画像のスキャンにより、迅速かつ安価に、体に負担をかけない方法で心血管疾患のリスクを診断できるようになる可能性がある。
このアルゴリズムを使って危険因子を正確に予測できたことから、科学者らはまた、このアルゴリズムを学習させて、5年以内に重大な心血管系イベント(心臓発作など)が起きる兆候を予測する実験も行った。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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