かつては考えられなかったことが、米国時間2月15日に現実になった。Googleの生命線であるオンライン広告を、「Chrome」ブラウザがブロックするのだ。
これは、何億人ものユーザーが既に広告ブロックツールをインストールしている流れに向かって、Chromeが明確な一歩を踏み出したことを示す。すべての広告をブロックするブラウザの拡張機能には遠く及ばないが、この動きは非常に重要だ。ChromeブラウザはPCとスマートフォンの両方のウェブブラウザ市場を支配しているのだから。StatCounterによると、ウェブページの約56%はChromeで閲覧されているという。
Chromeの広告ブロックの取り組みは、広告で埋め尽くされていたり、不愉快な広告で質が低下したりしているサイトをウェブから取り除くことを目的としていると、Chromeのウェブプラットフォーム担当プロダクトマネジャーを務めるRyan Schoen氏は語った。既にその効果の兆候が見えている。Googleが同社の標準に準拠していないとして警告した企業の約42%が、サイトを改善して広告を再表示するようになったのだ。警告を受けて改善した企業には、Los Angeles Times、Forbes、Chicago Tribuneなどが含まれる。
「われわれはウェブを、企業が繁栄し、収益を上げられる場にしたいが、同時に、ユーザーが良い体験を得られる場所にもしたい。この取り組みで、ウェブのエコシステムに適したバランスを取り戻したい」とSchoen氏は語った。
GoogleやFacebookのようなウェブサイトはオンライン広告がもたらす収益によって成長し、ユーザーは無料でそれらのサイトを利用できる。広告はサービスの急拡大を支える。Facebookの場合、ユーザー規模は20億人以上にまで拡大した。だが、「ただより高いものはない」というように、無料でウェブサイトを利用できる代償に気づいたユーザーからの、広告に対する反発が起きている。
広告には幾つかの欠点がある。広告のせいでウェブサイトの表示は遅くなり、スマートフォンのバッテリが消費される。ユーザーのオンラインでの行動をトラッキングし、ユーザーの興味に合う広告を表示するために役立つプロフィールを構築しようとする。うっとうしいこともある。さらに、ユーザーのPCを、サイバー攻撃や暗号通貨の不正なマイニングの道具に変える導管の役割を果たすことさえある。
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