レジで自分のスマートフォンを使って商品やサービスの代金を支払う行為が消費者に受け入れられるのに、予想より長い時間がかかっている。それでも、Appleの最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏は物理通貨の終焉を今も願っている。
これは、米国時間2月13日の同社年次株主総会におけるCook氏の発言の要点の1つである。このコメントは、株主からの質問への回答だった。Cook氏は、急速に発展するウェアラブル事業や、ヘルスケア分野への取り組みにも言及した。さらに、2017年12月に可決された米国の税制改革法案や未来に対する自身のビジョンにも触れた。
2016年10月、Cook氏は「Appleが現金を消滅させる」と述べた。しかし、今回の株主総会での同氏の発言は、それが近い将来に実現する可能性について、それほど確信していないような印象を与えた。Cook氏は、「私が生きているうちに、現金が消滅する日が来ると今も期待している」と話した。
「モバイル決済の普及は、私自身が数年前に考えていたほどは早く進んでいない」(Cook氏)
モバイル決済は何年も前から存在しているが、Appleが2014年、「iPhone」にモバイル決済機能「Apple Pay」を追加したことで、この技術に対する一般の人々の関心は一気に高まった。モバイル決済をサポートしない旧式のPOS端末がこの機能の普及拡大を妨げているが、そうした状況は徐々に変化している。
Cook氏は、この12カ月間に、特にロシアや中国といった意外な国々で「非常に急速な普及拡大」を確認した、と述べた。
米国では、企業は何がメディケアやメディケイド(米国の公的医療保険制度)によって補償されるのかを重視するため、革新的なヘルスケア製品の開発に対して必ずしも積極的ではない、とCook氏は述べた。それは必ずしも患者にとって最善のことではない、と同氏は言い添えた。
「われわれは、これまでずっとやってきたことを今もできるという非常に素晴らしい立場にいる。それは、ユーザーと同じ視点を持つということだ。われわれは、連邦政府を説得して補償金をもらうことができるだろうかと心配するのではなく、どうすればユーザーの健康状態を改善できるのか、と自問することができる。これは、Appleが時間をかけて多大な貢献をすることのできる分野だ」(Cook氏)
Cook氏はこのほか、「AirPods」や「Apple Watch」、「Beats」ヘッドホンを含むウェアラブル事業がFortune 300企業の規模に近づきつつあることや、昨年度は研究開発に120億ドル(約1兆3500億円)を投じたこと、また税制改革の必要性などについて語った。
この日の質問のうち特に珍しかったのは、Appleが口腔ヘルスケアについて何か計画しているかというものだった。Cook氏はこう回答した。「現在われわれが注力している分野ではない」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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