Appleの最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏は拡張現実(AR)の未来に前向きだが、ARヘッドセット向けのテクノロジについては、ユーザーが楽しめる「高品質な体験」を提供できる段階には達していないと考えている。
既にARヘッドセットが市場に登場しているにもかかわらず、Cook氏はThe Independentに対し、「高品質」なARヘッドセットやメガネを構築するための「テクノロジ自体が存在しない」と述べた。
「ディスプレイ技術を必要とするほか、ユーザーが顔の周りにさまざまなものを装着しなければならないことについても、非常に大きな課題がある。視界やディスプレイ自体も、まだ満足できる水準に達していない」(Cook氏)
Appleの企業買収や特許は、同社がより優れたARヘッドセット開発に向けて課題を克服する方法を模索していることを示唆している。しかし、Cook氏の発言によれば、実際の製品が登場するのはまだ少し先のようだ。
「製品を最初に発売することには何の関心もない。われわれは最高の製品を開発し、素晴らしい体験をユーザーに提供したいと考えている。しかし、われわれの満足できる製品が近い将来に市場に登場することはないだろう。大半の消費者もそれらの製品には満足しないと私は思う」
Appleは「ARKit」を含む「iOS 11」をリリースした。これにより、開発者は「iPhone」および「iPad」向けARアプリの構築に着手できるようになった。
Appleが新しいヘッドセットではなく、iPhoneをARへの取り組みの中心に据えたことで、開発者は「何億人もの潜在顧客」を瞬時に獲得した。
「もしそれが(iPhoneではなく)他のデバイスだったら、商業的なチャンスを決して得られなかった。商業的なチャンスがなければ、1500万人(の開発者)が、『ARで自分の情熱をデザインしたい』と言ってくれることも決してなかっただろう」とCook氏は述べた。
今後予測されるARの動きについて、Cook氏は「App Store」がサービスを開始した2008年を振り返り、当時「成功しない」と言われたモバイルアプリが、その後急激に広まった例を出して説明した。
「今やアプリが無い生活は考えられないだろう。健康に関する情報もアプリにあり、お金や買い物、ニュース、エンターテインメントなど、すべてのことがアプリにある」とした上で、「ARはそれに似ている。劇的な動きを見せるだろう」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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