MCSの場合、ネットですべて完結するのは便利だが、少々不安に感じる人もいるかもしれない。もし深刻なものが見つかった場合はどうなるのか。
「もし緊急性があるものが見つかった場合、技師が見て分かるので、その場で対応します。何人かはその日のうちに大学病院を紹介しています。先日も、自覚症状がない中で脳腫瘍が見つかり、すぐに治療ができました。あるいは、早めに受診したほうがいいと、メールでクリニックに呼ぶこともあります。ただ、検査結果で脳に異常が見つかると、だれも放っておかないんです、怖いから。でも人間ドックでコレステロールが高いと診断されても、みんな放っておくんですよ。けれど、脳ドックだと心配で必ず受診に来る。それが脳ドックのすごいところです」
もし脳ドックを受けて大きな異常が見つからなかった場合は、どの程度の間隔で受ければよいのだろうか。
「年齢と所見によって違うのですが、20代で異常がなかったら5年後とお伝えしています。30代で所見がなければ、2~3年。でも、50代になったら1年に1度のほうがいい。病気がいつ起きてくるか分からないので、早め早めの検診をおすすめしています。健康なときに撮っておけば、異常が見つかったときに見比べてここが変わっている、なかったものが出ているといった変化がわかります」
「いずれは心臓ドックなどもやってみたいのですが、心エコー検査は動画になるので、スマートフォンでは負荷が掛かります。でも、スマートフォンで自分の心臓が動いているのが見られたらおもしろいですよね。5Gが標準になればまた変わるかもしれませんね。コンセプトとしては検診のハードルを下げて現在の健康状態を知ってもらい、みんなに幸せになってもらいたいですね」
実はこの取材のきっかけは、自身がメディカルチェックスタジオの脳ドックを受け、その手軽さに驚いたことにある。
私ごとで恐縮だが、ある日Facebookを見ていると、「脳ドックで、脳動脈瘤(りゅう)が見つかった。未破裂動脈瘤の破裂リスクは、3年以内0.5%という初期段階」──そんなタイムラインが流れてきて、それがMCSでの検査結果だと知った。
脳に異常が見つかったというと深刻に捉える人もいるかもしれない。その方の場合、さらに詳細な検査の結果、動脈にコレステロールの塊などがないことや脳の活動状況などを確認した上で、ある程度の年齢であれば起こりうるものだとわかったという。このように今を知ることで、新たな対策や付き合い方を考えるきっかけにできる。
ある程度の年齢を重ねていくと、周囲に脳梗塞や脳内出血といった脳血管疾患で一大事になったという話を見聞きするようになる。そんなとき、最近物忘れが多い、とっさに人の名前が出てこないといったことが重なると、「自分の頭(脳)は大丈夫だろうか」──と不安を覚えることがある。それが、脳ドックを受けたことで「脳は大丈夫」と安心できるようになった。
また、実は脳ではないが副鼻腔に異常が見つかり、「頭痛や頭重感があれば耳鼻科を受診するように」とコメントを受けた。言われてみると、片方だけ耳ぬきがしにくかったり、よく頭痛が起こりがちなのだが、もしかするとそれが原因かもしれないと手がかりをつかんだ気分だ。
不規則な生活や運動不足を自認する人はもちろんのこと、脳の状態が気になる人は一度受けてみてもいい検査と言えそうだ。自分自身のことだけでなく、40代、50代になると親世代の状態も心配になるもの。MCSのウェブサイトで「マイページ」を見ると、「ファミリー設定」で家族の登録ができる。
なお、MCSの脳ドックを受診前する前、自身が加入する健康保険組合を調べたところ、脳ドックの受診資格は「50歳以上」でかつ「3年に1回」という条件が付いていた。筆者の場合、残念ながら受診資格がなかったが、人間ドックのオプションとして受けられることもあるので、所属する健康保険組合を調べてみるのも手だ。
「脳ドックによって、現在の自分を知るいいきっかけにしてくれればという思いもあります。健康も大事ですが、マインドや不安の解消にも役立ててほしい。まずは現状を知り、そこからの変化を踏まえて見ていく。そういう意味においては年齢にかかわらず若い人にもおすすめしたいですね」
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