ITで脳ドックを安く身近に--AIや遠隔診断を駆使した「メディカルチェックスタジオ」 - (page 2)

坂本純子 (編集部)2018年02月21日 09時00分

遠隔診断の導入やAIの活用も

 では、どのように費用を下げる工夫をしたのだろうか。その一つはネットやクラウドといったITの活用にあった。

 「スマート脳ドックは、予約から問診、決済、検査結果のフィードバックまでを一元管理するシステムで行っています。それによってオペレーションコストが下げられるのが一つ。検査のオペレーションにおいても、画像診断は画像を読む“読影”を遠隔でしています」

 MCSは、広島大学出身の医師が運営する画像診断を専門に扱う企業エムネスと業務提携。すべての検査画像をクラウドに上げ、エムネスにおいて放射線科医と脳神経外科医がダブルチェック。加えてAI(研究開発中)を活用したトリプルチェックで見逃しを防いでおり、安くても質を低下させない工夫をしている。

 「MCSでは最新のMRIを2台置いていますが、脳しか撮りません。MRIは全身のどこでも撮れる機械なので、頭でも膝でも撮れますが、セッティングを変えると30分に1人くらいしか撮れないような場合もあります。脳にフォーカスすることで、検査の件数を1台で1時間で4件。MRIは2台あるので1時間に最大8件の検査ができることで、1件あたりの検査の価格を下げられます」

 一般的には、1時間に2件程度なのだという。しかし、ここでは15分刻みで予約を受け付けられる。2台あるので、1台が埋まっていても予約がとりやすい。

脳ドックに特化することで、検査時間を短縮。また稼働率のアップにもつなげた
脳ドックに特化することで、検査時間を短縮。また稼働率のアップにもつなげた

データと知見をためれば“量が質を生む”

 「目指すのは“量が質を生む”こと。オペレーションもそうですが、検査によって生まれてくるデータ、症例を知見としてためていきたい」と説明する。

 またデータを集めることで、どんどん賢くなっていくのが人工知能だ。

 「画像解析はいまAIが一番得意な領域で、東京大学発のAIベンチャーエルピクセルと脳動脈瘤(りゅう)を見つける共同研究をしています。たとえば動脈のある部分に普通の分岐と違うところがあれば、脳動脈瘤ではないかと異常を検知してくれる。医学用語でtrue positive(真の陽性)とfalse positive(偽の陽性)といいますが、読影医がこれを見て、本当に脳動脈瘤と判断したときには“TP”というボタンを押す。瘤ではなくて、血管がくねっているのが写ってしまっただけ、というときは“FP”を押し、こういった状況は正常なんだと学習させる。これを何万件かやっていくと、機械の方が人間よりも瞬時に判断して、パターンを覚えていきます」

エルピクセルのAIを活用した次世代医療診断支援技術
エルピクセルのAIを活用した次世代医療診断支援技術

 「いずれこのAIによる画像診断が認可され、読影医が要らなくなればその場で結果を出すことができます。今は補助でしかありませんが、読影医よりも正解率が上がれば、薬事法がとれて国がその機械を医療に使っていいということになる。そういったしくみを取り入れることでコストを下げ、広く利用してもらうことで健康管理に役立てて将来的には医療費の削減につながればとも考えています」

 AIは、人間の仕事を奪うのではないか、といった論調を多く目にするようになって久しい。もし、人間よりも早く判断ができるようになった場合、本当に医師は要らなくなるのだろうか。

 「AIが進んだら、放射線科医が食べていけなくなるのではと思うかもしれません。でも、いま読影する放射線科医は少ないんです。放射線科医は放射線治療など、ほかのことに力を注げるようになります。医師の中には、読影を最も得意とする人もいますので、それぞれチームで分かれてやるのがベストだと思っています」

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