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クライアント企業との“ドライ”な関係を変える--コンテンツマーケに特化した投資育成ファンドの狙い - (page 2)

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資金と人材の提供は“本気”を試すためのリトマス紙

――具体的には、どのような形で出資をしていくのでしょうか。

 一般的な上場企業の論理で言えば、戦略的な投資というのは株式の51%以上を出資して連結子会社化したりしますが、私たちとしては連結化してグループの利益を増やそうという考えはなく、10〜30%程度の少数株主として資金提供しながら、人材やノウハウ、そしてビジネス機会の提供を支援していきたいと考えています。こうしたボランティア的な発想は、事業会社の投資ファンドやベンチャーキャピタルでは、なかなかできないのではないでしょうか。

 私たちにはクライアント企業のデジタルトランスフォーメーション支援という基幹事業があり、求めているのはその事業を一緒に手がけてくれるパートナーシップです。その結果、基幹事業が拡大すれば私たちにとってもコンテンツ制作会社にとっても、クライアント企業にとってもハッピーであることは言うまでもありません。そのため、投資そのもので利益を生み出す必要は全くないのです。もちろん、今回のファンド事業では、ストロボで抱える大手クライアントを中心とした相応規模の案件を投資支援先であるパートナー会社に提供していくため、投資実行とともに売上規模や業界内シェアといった定量的な事業価値も向上するスキームが特徴です。結果として投資育成事業としてのパフォーマンスも見込んでいます。


――パートナーエコシステムというのはさまざまな分野で進んでいますが、実はそこには何のコミットメントもないことが多い。そこで少額出資や人材提供の関係を通じてコミットメントを構築しようという発想は、日本ではなかなか見られませんね。

 なぜヒトやカネを提供するのか。そこがパートナーシップの構築におけるリトマス紙の役割を果たすのではないかと思うのです。パートナーエコシステムという言葉を聞くと、それに魅力を感じるベンチャー企業はたくさんあります。ビジネスに繋がる企業とのミートアップなどを期待するわけです。しかし、そこで「出資をして人材面でも支援します」「必要な資金と良質な仕事を提供するから人材をどんどん増やして欲しい」という話をすると、急に消極的になる会社は少なくないのです。ここが、ベンチャー企業の“本気”を試すリトマス紙になるのではないかと思います。

 私たちは出資や人材の提供を通じて経営に干渉するつもりは全くありません。しかし、企業と企業、人と人が“クライアントの成功のために一緒に取り組みたいと本気で考えているか、自社のビジネスを本気で大きくしていきたいと考えているのか、私たちが提示するコミットに乗っていただくことを試金石とすることで、本当の意味で深く強いパートナーシップが築けるのではないかと考えています。

――ベンチャー企業の本気を徹底的に試すというのは、事業の実現可能性や熱意を試すベンチャー投資ファンドの考え方と同じですね。最近ではスタートアップ企業に対する支援の選択肢が増えてドアを叩くハードルは低くなっている。だからこそ、ハンズオンで手を組む当事者がどれだけ本気なのかを確認する作業は重要になってくると思います。

 そうですね。ただ一般的なベンチャーファンドでは潤沢な資金と社会的な信用は提供できるかもしれませんが、ビジネスを拡大するための仕事が得られるかというとそこにコミットはありません。私たちは、すでに大手企業をクライアントとして持っているということが大きな強みであり、ベンチャー企業は資金やノウハウの獲得だけでなく、私たちをクライアントとしてビジネスを拡大できる点が大きなポイントだと思います。

 しかし、そこで私たちがクライアント企業の成果創出にコミットしている以上、パートナーシップを組んだコンテンツ制作会社にも私たちとクライアント企業に対してコミットをしてもらわなければ、ビジネスは理想の形にはなりません。だからこそ、私たちはベンチャー企業に“本気”を求めたいのです。もちろん、ビジネスにおける要求は厳しいものになりますが、その分だけ投資支援先パートナーとなるベンチャー企業は急速な成長を実現することができるはずです。

コンテンツマーケティングの課題を解決したい

――今後の展開について教えてください。

 ベンチャー投資事業自体は2016年から行っており、すでにこのコンテンツグロースハックファンドの枠組みでコンテンツマーケティング会社やメディアのグロースハック支援会社など2社のディールが進行しており、プロスペクトも数社とお話している状況です。現在ファンド事業規模は自社資金と外部資金調達を元に総額5億円から最大10億円規模を考えており、投資先は20社から50社程度まで拡大していきたいと考えています。

 私たちとしては、今後ファンド事業の投資先となるベンチャー企業やこのファンド事業に資金を提供してくださる投資家だけでなく、私たちの思想に共感してパートナーエコシステムに参画してビジネスを一緒に進めたいというクライアント企業を増やしていきたいですね。品質や成果に何のコミットメントもないまま受発注の関係だけでビジネスが回ってしまっている現状のコンテンツマーケティングの課題を、このコンテンツグロースハックファンドによるパートナーエコシステムが生み出すコミットメントによって解決したいと考えています。

 また、現在の投資対象はコンテンツマーケティング会社やメディア制作会社ですが、将来的には個人クリエイターの活躍を支援する環境づくりも構想しています。個人クリエイターの方々は自身で活躍のフィールドを構築しているのでなかなか法人と同じようなコミットメントは難しいのかもしれませんが、例えばワーキングスペースを提供することでリソースの一部をコミットしてもらえるようなスキームなどを模索しています。

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