スマートフォンにはさまざまな情報が保存されている。古くは電話帳として家族や友人、よく連絡する連絡先が登録されていた。電話帳の連絡先には続柄の項目もあることから、設定していれば誰が家族なのかも分かる。
またメッセージが全盛の時代となり、誰と頻繁に連絡を取り、どんな内容のコミュニケーションを取っているのかもわかる。スマホの中で動く人工知能は、そうしたパターンを検出している。
これによって、さまざまな最適化が行われたり、自動的に提案がなされたりするのだが、裏を返せばスマホに入っていない情報にこうした分析はかけられない。
そこで、スマートフォンは外部デバイスなどを活用して、更なるデータを蓄積しようとしてきた。その最もわかりやすい例がエクササイズの情報だ。ウェアラブルデバイスやスポーツトラッカーとアプリを組み合わせ、日々の運動の情報を蓄積するようになった。
一度こうしたデータがスマホ内に入れば、ユーザーの許可を得て他のアプリ間で利用し、健康増進や筋力向上に役立てたり、ダイエットに活用したりできる。機会があれば詳しく述べるが、筆者のダイエットの成功も、スマホに収集された食事と運動のデータの組み合わせによって実現したようなものだ。
次なるデータの対象は、医療情報になりそうだ。Appleは、春に公開予定のiOS 11.3の新機能を披露したが、その中に医療機関とユーザーのiPhoneとの間でのデータ連携機能を用意したのだ。
Appleは自社ウェブサイトで、iOS 11.3に搭載されるヘルスケアアプリの刷新について触れた。
iOS 11.3のヘルスケアアプリでは、「FHIR」(Fast Healthcare Interoperability Resouces)という電子医療情報に関する標準技術を用いて、医療機関が取得した患者の情報をiPhoneに集約できるとしている。
当初は、米国の12の医療機関と連携し、これまでアプリで閲覧できた患者の情報をヘルスケアアプリで一覧できるようになる。
ユーザーはこれまで、各医療機関が提供するアプリにログインしなければ、その医療機関が検査などで取得したデータにアクセスすることができなかった。これを1つのアプリに集約できる点は、複数のデバイスやアプリで取得してきたエクササイズ情報を集約してきたヘルスケアアプリのこれまでの役割とも共通する。
AppleのCOO、Jeff Williams氏は、「顧客が自分の健康についてよりよい理解をし、より健康的な生活へと導く助けになることを期待する」とコメントしている。
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