「2017ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞に「インスタ映え」が選ばれた。インスタ映えとは、Instagramに投稿された写真や被写体に対して、見映えがいいとかお洒落という意味で使われる言葉だ。この言葉が市民権を得たことで、インスタ映えを意識した商品を多く見かけるようになり、ニュースなどでも頻繁に耳にするようになってきた。
この傾向は日本だけのことではなく、海外でも「#instagrammable」という似たハッシュタグが約4万件投稿されている。そのほかにも「# instagrammableplace」「#instagrammablemoments」「#instagrammablefood」など派生したハッシュタグが生まれ、日本とほぼ同じ使われ方をしているようだ。
そんな中、最近「#インスタ萎え」という言葉が出てきたことをご存知だろうか。今回はインスタ萎えがなぜ人気になっているのかについて考えていきたい。
インスタ萎えとは、インスタ映えの反対の、Instagramに映えないがっかり写真という意味で使われている。平成ノブシコブシ・吉村崇さんが2017年11月に投稿した千鳥・大悟さんの写真につけられたものが最初のようだ。
その後、木下優樹菜さんが夫のFUJIWARA・藤本さんと撮った写真につけて話題に。渡辺直美さんも、同ハッシュタグとともに「好きな人に絶対見られたくない写真」と説明をつけて、自分のプール上がりの髪が顔に張り付いた写真を投稿して広まった。
インスタ萎えは、言葉の面白さもあって若い子の間で流行しつつある。Twitterでは「インスタ萎えはTwitter映えというのでは」という意見もあるほどで、Instagramらしさ(おしゃれ、きれい)の反対をイメージすれば大体はずさないようだ。
Instagramで「#インスタ萎え」を検索すると、不細工な表情をした犬やInstagramのように美しくはない普段の食事の写真などが並ぶ。ウケ狙いの写真も多く、Instagramっぽくない笑える写真も少なくない。高校生や大学生がSNOWで変顔加工したり、すっぴんのままの自撮り写真をこのハッシュタグを付けて投稿しているのを見かけた。
では、なぜインスタ萎えが若い子の間でウケているのだろうか。もともと、自然な自撮りは女子ウケがいい。若い子たちの間でも、毎回カメラ目線だったり、盛りすぎたりする自撮り写真を掲載するのは“痛い”という認識ができつつあるようだ。ある会で、「すごいとか可愛いと言われたいのがミエミエな写真は格好悪い」と女子大生たちは口々に言っていた。
10代向けファッション誌「non-no」でも、SNSで好かれる投稿、NG投稿を公開している。それによると、InstagramにおけるNGな投稿は「実物と違いすぎ加工しすぎな自撮り」「彼氏をにおわせて高級な料理や指輪のアピール」「ピアスやネックレスの購入報告と見せかけてメインは自分」「友人の顔が事故ってるのはおかまいなしのキメ顔」など。
逆にOKなのは、「他撮り・自然・目線なしの写真」「彼氏と親友みたいに仲良し!中途半端に隠すくらいなら全部出す!」「髪切ったなど載せたくなる理由のある時の自撮りは共感」「集合写真は写りより楽しい雰囲気優先」などとなっている。
つまり、いわゆるインスタ映えばかり狙ったキメキメの写真よりも、自然体の共感できる写真が求められているのだ。インスタ映えが流行語大賞を取ったということは、概念も普及したということだ。言葉と概念は普及と同時に陳腐化し始める。
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