スマートフォンネイティブが見ている世界

10代女子にとってMERYは「インスタ+等身大ニーズ」

 11月21日は、10〜20代女子がネットで大騒ぎだった。多くの人が喜んだ「どうぶつの森ポケット」の配信開始ではない。それよりも10代女子の間で話題だったのは、「Zipper」の休刊と「MERY」の再開だ。

 信頼性などに難があるとして、医療情報サイト「WELQ」をはじめDeNAのキュレーションメディアが相次いで閉鎖したのは昨年末のことだ。MERYも、2016年12月に一度閉鎖していた。

 MERYを運営していたペロリの発表によると、2016年11月当時で月間4億PV、ユニークユーザー数は2000万人以上だった。10代女子の多くは当時「暇な時はMERY見てる。女子力高める系の情報は全部MERYで取る」と言っており、閉鎖により“MERYロス”に陥るユーザーは多かった。

 Zipperは青文字系として知られる10代後半向けのファッション誌だった。同じ日に、1993年から続いていた時代を代表する雑誌の1つだったZipperが休刊し、スマホで楽しめる女子向けメディアのMERYが復活したのは、時代を象徴することと言える。

 2017年8月に、小学館とDeNAが出資する共同出資会社「MERY株式会社」が設立された。公認ライター制を採用し、すべての記事は校閲・編集部の二重チェック後に公開とするなど、小学館主導で信頼あるコンテンツ作りを目指しての再開となる。

 10代女子を語る上で絶対はずせないのが、MERYの人気の理由だ。MERY復活に対する反応と現状、今後を予想するとともに、MERYが10代女子に圧倒的支持を受けた理由についても合わせて考えてみたい。

MERY再開には賛否両論

 MERYの復活に対する声は、Twitterやアプリの感想などに多数あげられている。

「アプリを消さないで復活をずっと待っていた」
「毎日欠かさず見ていたので復活が嬉しい」
「また生活を『かわいい』でいっぱいにしてほしい」
「似たようなアプリの中で一番好きです」
「復活おめでとう。もう消えないで」

 などの絶賛コメントが並び、MERY信者の愛に圧倒される。一方、再開に違和感を唱えるコメントも少なくない。

「前とほとんど変わらないんだけどどこか違うような…」
「喜んでダウンロードしたけどまだ見てなかった」
「ない時間が長すぎてほかのアプリでもよくなってた」

 時間があきすぎた、他のアプリが入り込んだなどは仕方がない。しかし、ポイントとなるのはどこか違うという「違和感」だ。

MERY=インスタ+等身大ニーズの情報

 大人がMERYのサイトやアプリを見れば、そのキラキラ感に圧倒されるだろう。ピンク基調でキラキラしたものがあふれており、画像が多く情報が多いところが特徴だ。

 多くの読者たちは、

「このアプリの記事を読むと女の子になれる。魔法のアプリ!」
「見ているだけで女子力上がる気がする」
「とにかく可愛い。癒される…」

 と言って支持している。

 詳しく見てみると、画像は撮り下ろしではなくInstagramからの引用がほとんど。文章は非常に短く添え物として程度であり、Instagramの説明文程度という状態だ。アプリで見る層が多いと考えられるので、スマホ最適化を目指した結果だろう。

 Instagramの写真掲載は、以前とは違い一般ユーザーに掲載許可を取っている。

「MERYから掲載許可がきてた、嬉しい」
「インスタ写真をMERYに載せていただいた。連絡きたときから嬉しかったけどやっぱり嬉しい!」
「MERYに私の撮った写真が載ってる。すご!」

 という声はあちこちから上がっている。

 知り合いの女子大生も、「MERYデビューでテンション上がってます。インスタがんばっておいてよかった。やっぱりMERY大好きだしみんな羨ましがってる」と言っていた。MERYに選んでもらえたということは、自分の世界観が間違っていないことの証であり、女子力を保証されたことでもあるからだ。

 MERYはターゲットとなる10〜20代女子のInstagramアカウントのリアルな投稿写真を掲載している。つまり、ビジュアル的にはInstagramアカウントを見ている状態となり、加えてテーマごとに編集されているので、等身大情報を効率的に得られるという“いいとこ取り状態”となるわけだ。これがMERY支持の正体だ。

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