2017年のアップルを振り返る--見えてきた5つの数字 - (page 4)

「34%」--サービス部門の成長が続く

 AppleでiPhoneの次に注目している部門はサービスだ。iTunes StoreやiCloudに加えて、App Store、Apple Music、Apple Payといった各種サービスの売上が計上される部門である。Appleはすでに、サービス部門だけで、米国の大企業の指標であるFortune 100企業と同じ規模の売上に成長したことを報告している。

 特に成長が著しいのがApp Storeだ。iPhoneユーザーが増えれば増えるほど、有料アプリ、アプリ内課金売上の手数料がAppleに入る。2016年はPokemon GOやSuper Mario RunといったビッグタイトルがApp Storeの売り上げを押し上げたが、2017年はこうしたインパクトがなくても前年同期比2桁以上の増加を記録し、自律的な成長のフェイズに入っていることを示唆する。

 加えて、Apple Musicは3000万人の有料登録者数を数え、また世界のモバイル決済の大半をApple Payが占めるなど、App Store以外の売上も堅調に伸びている。音楽定額サービスもモバイル決済も、けっしてAppleが一番手ではないが、iPhoneがもつ先進国での巨大なユーザーベースへの訴求は、サービス部門をより成長しやすくしている。

 Appleは2020年までに、サービス部門の売上を2016年の水準から2倍にするとの目標を掲げているが、その達成は難しくなさそうだ。Appleのサービス部門は前年比34%増。このペースを維持すれば、3年以内に3倍に到達することになる。

総じて、堅調な1年だった

 Appleにまつわる数字で2017年を振り返ってきた。2017年の米国は、トランプ政権の発足と、米国第一主義、金融政策の正常化プロセスの進行、税制改革と、経済にかかわる政治イベントが多数存在していた。

 Appleは他のシリコンバレー企業とともに、移民政策、環境エネルギー政策、ネットの中立性の問題で、トランプ政権に批判的な立場をとってきた。

 その一方で、法人減税や、大量の海外滞留資金を低い課税で米国に持ち帰れるようになる税制改革については、比較的静かにその動向を見守っていた。またトランプ大統領がときどき発言するドル高牽制も、海外での売上比率が65%にのぼるAppleにとって悪い話ではない。もちろんこれらは、Appleにとっては外部要因ではあるが、業績の数字を変化させる小さくない要因だ。

 Appleは2018年も、堅実に、独自のペースでビジネスに取り組んでいくと予測できる。競合となる企業はそのペースの遅さに左右されるかもしれないが、アプリ企業などのAppleのエコシステムでビジネスを展開する企業にとっては引き続き、安定してじっくり取り組める環境になるだろう。

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