2017年のアップルを振り返る--見えてきた5つの数字 - (page 2)

「11」--iOSの成熟と課題

 AppleはiPhone 10周年の2017年に、iOS 11をリリースした。iOSはApp Storeに対応、フラットデザインへの採用という目に見えた変化を経験してきた。iOS 11では、3つの大きな変化がもたらされている。

 1つは、32ビットアプリを切り捨て、64ビットアプリしか動作しなくなった点だ。これにより32ビットをベースに作られたアプリは、iOS 11にアップグレードしたiPhoneでは動作しなくなる。長らくアップデートされていないアプリは、64ビット対応をしなければ動作しなくなる。これはApp Storeに新陳代謝をもたらした。

9月にリリースしたiOS 11
9月にリリースしたiOS 11

 2つ目は、機械学習をアプリに取り入れやすくなった点だ。AppleはiOS 11でCore MLという機械学習モデルを取り入れやすくした。既存の学習モデルをアプリに取り込めるようにし、アプリ開発者と機械学習技術社とのコラボレーションも円滑となる。別の言い方をすると、機械学習モデルが、アプリにおける機能やユーザーインターフェースに次ぐ、第三の評価軸に加わることを意味する。

 3つ目は拡張現実(AR)だ。AppleはARを次世代のアプリ革新の環境として重要視し、iOS 11に搭載したARKitによって「世界最大のARプラットホーム」を標榜した。AR機能をライセンスフリーでアプリに活用できる仕組みを取り入れている。ゲームや地図だけでなく、教育をはじめとするあらゆるジャンルのアプリにARが活用できるとしている。

 iOSはAndroidに対して、複数バージョンによるプラットホーム分断化の問題を最小限に抑えている。iOSの最新版がリリースされると、急速にその普及率が高まり、アプリ開発者は安心して最新のiOSの機能を生かしたアプリを開発し、競争できる。今回の3つの要素についても、開発者が素早くアプリ開発に反映させ、ユーザーが最新OSによる新しい体験を享受するまでの時間を短縮してくれる。

 しかし2017年末に、iOSを含むAppleのソフトウェアの品質についての問題点が露呈した。12月2日を過ぎると、多くのiPhoneが強制的に再起動する問題に陥り、筆者の手元のiPhoneでは最新版のiOS 11.2.1を導入してもなお、問題が解決していない。またmacOS High Sierraでも、深刻なセキュリティ上の脆弱性が放置されたままだったことが分かった。

 最新機能の素早い導入や、デバイスに合わせたソフトウェア開発は、Appleの強みを生かしたならではの取り組みといえる。しかし正確に動くこと、というそもそもの品質が疎かになっている可能性があり、2018年にはこの点を是正していくべきだろう。

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