スピーカ、シェアエコ、仮想通貨--LINE出澤社長が振り返る2017年 - (page 3)

2018年は「大きな勝負の年になる」

――海外事業の現状についても教えてください。

 現在はスマートポータルの各サービスを各国でローカル展開していて、実績をあげています。コンテンツに関してはLINE NEWS(海外名「LINE Today」)が各国で成長していますね。

 特に、タイでは「LINE MAN」というデリバリーサービスが成長していて、フードだけでなくコンビニや郵便サービスのデリバリーなどにも拡大しています。食品デリバリーサービスでは利用率がナンバーワンになっていますね。また台湾ではLINE Payが好調で、登録者数が220万人を超えて、現地のブランド調査でもLINE Payの支持率は最も高い状況になっています。決済が使える店舗も街中に着実に増加していますし、2017年から台湾の確定申告(納税)でもLINE Payが使えるようになりました。

 今後も日本と台湾、タイ、インドネシアの4カ国に注力していくという基本方針を継続しながら、サービス単体レベルではこの4カ国以外にも展開していきたいと思います。

――広告ビジネスについては、この1年で変化はありましたか。

 これまでLINEでは、企業アカウントやスポンサーステッカーなどLINEらしいオリジナルの広告商品でビジネスを拡大しているのですが、一方で運用型の広告プラットフォーム「LINE Ads Platform」が2017年から本格的に始まり、1年という短期間で非常に大きなビジネスを生み出すことができました。他の広告媒体では接触できない若い消費者にリーチできる点が、大きな強みになっていると思います。


10月からは「LINEマンガ」上で「LINE Ads Platform」の運用を開始した

 また、従来からあるオリジナルの商品も進化を遂げていて、2017年は企業と顧客がワンツーワンでやりとりできるビジネスコネクトという商品が好調で、導入者数の増加にともなって事例がどんどん生まれています。また、チャットボットの導入も増加しているので、LINEの周囲にさまざまな事業者が集まってエコシステムが生み出されている状況です。そしてLINE@の認証済みアカウント数が日本国内で30万に伸びており、街中の店舗でもLINE@を見る機会が増えてきましたね。そこに関しても世の中への浸透が進んできていると思います。

 12月には動画広告プラットフォームの「ファイブ」と資本業務提携を行い、今後はLINE Ads PlatformをはじめとしたLINE関連サービスにおける動画広告を強化していきます。引き続き、ビジネスの成長を牽引するのは広告事業だと考えており、まだまだ伸びしろのある領域だと思いますので、オンライン広告だけでなくO2Oの領域も含めて新たな広告ソリューションを展開していきたいと思います。

――最後に、2018年に向けた抱負を聞かせてください。

 2017年は、今後大きな勝負をしていくための基盤を準備できた年だったと思います。Clovaの製品リリースもそうですね。2018年はそれを踏まえてさらに飛躍していく年になると思います。「2018年は勝負の年になる」ということを社内でも言っています。

 外的な環境については、スマートスピーカ市場の初期段階で意味のあるシェアを獲得できるかが非常に重要になると思いますし、ペイメント領域も市場環境の変化や新規参入が生まれると思いますので、こうした幅広い領域で大きな勝負をすることになると思います。

 そして、AIや、先ほどお話しました広告分野、そしてスマートポータルにおいても、今後はビッグデータをいかにとり扱っていくか、どのように活用し、よりよいユーザー体験を提供できるか、ということが大きな課題になると考えています。ジャイアントと呼ばれる並み居るグローバル企業に比べて、日本ではまだまだグローバルに追いつけるようなビッグデータの活用ができていません。そのあたりも、われわれ含め、日本の各会社で求められてくるでしょう。

 2018年は、既存の事業を着実に伸ばしつつ、勝負を仕掛けていく領域には大きく投資をして成長基盤を作っていきたいですね。


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